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市⾕聡啓
カイゼン・ジャーニーのインセプションデッキ
と、あとがきに代えて
書籍「カイゼン・ジャーニー」
インセプションデッキ
Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
インセプションデッキ
プロジェクトが然るべき⽅向を向いているか
チーム全員で明らかにする。
https://www.amazon.co.jp/dp/4274068560
※インセプションデッキについてはアジャイルサムライを読もう!
われわれはなぜここにいるのか?
現場、仕事場を変えていく⼈たちに
寄り添う存在をつくりたい。
インセプションデッキ① われわれはなぜここにいるのか?
われわれはなぜここにいるのか?
現場、仕事場を変えていく⼈たちに
寄り添う存在をつくりたい。
なぜなら、⾃分(たち)の状況を変えるというのは
⼀⼈(ぼっち)で臨むこと、始めることが多いから。
("皆より先に気づいてしまった⾃分”)
インセプションデッキ① われわれはなぜここにいるのか?
たいてい気づいてる問題
(緊急度⾼☓重要度⾼)
1⼈多勢
気づいてない問題
Or ゆでガエル問題
(緊急度低☓重要度⾼)
ぼっち曲線
⽬⽴つ問題
皆で取り組む
前提を問うような問題
誰もが問題として検知
するわけではない
まあまあ
孤独
たいてい気づいてる問題
(緊急度⾼☓重要度⾼)
1⼈多勢
気づいてない問題
Or ゆでガエル問題
(緊急度低☓重要度⾼)
ぼっち曲線
⽬⽴つ問題
皆で取り組む
前提を問うような問題
誰もが問題として検知
するわけではない
ぼっちの傍らにあって
周りの巻き込みをたすける本
エレベータピッチ
① まだ周りを巻き込めない状況でもヤバい問題に取り組みたい
② チームでの仕事のやり⽅をより良くしたい
③ チームの外側にいる⼈たちも上⼿く巻き込みたい
という(段階的な)問題を抱えている、
ソフトウェアづくりやチーム仕事にたずさわる⼈たち、
特に仕事の経験がまだ浅い⼈たち を想定読者とした
カイゼン・ジャーニーという本は、変化の旅に向けたガイドブックです。
インセプションデッキ② エレベータピッチ
エレベータピッチ
これは「ストーリー」と「解説」という構成を取ることで、
仕事に必要な習慣(プラクティス)を理解できる とともに
導⼊のための背景、前提、応⽤の理解を、ストーリーの追体験によって
リアリティをもって得ることができる。
また、3部構成を取ることで、
「⼀⼈」→「チーム」→「チームを越える」という状況に対応しており、
理解の段階的な積み上げと、⾃分の状況にあわせた読み⽅ができる。
創作⼩説やハウツー本とは違って、
著者の体験をベースに編集しており、現実感と実践レベルの知識を
提供している。
インセプションデッキ② エレベータピッチ
パッケージデザイン
インセプションデッキ③ パッケージデザイン
インセプションデッキ③ パッケージデザイン
Ver1 最終
ご近所さんをさがせ
コアチーム(著者)
編集者 翔泳社 秦さん
レビューア
秋葉 ちひろさん、荒井 千恵さん、⽯沢 健⼈さん
⽊下 史彦さん、⽊村 卓央さん、久保 明さん、倉澤 茜さん
⼩芝 敏明さん、坂部 広⼤さん、塩⽥ 英⼆さん、野村 敏昭さん
橋本 宙 さん、林 栄⼀さん、福本 江梨奈さん、森實 繁樹さん
安井 ⼒さん、安⻄ 剛さん、横道 稔さん
スペシャルサンクス
インセプションデッキ④ ご近所さんをさがせ
※合宿皆勤賞
やらないことリスト
コンフリクトを恐れる
妥協
著者の間で、編集さんとの間でのコンフリクトを恐れない。
尊敬と信頼をもって、衝突する。
世の中に出す本なので、誠実に取り組みたい。
(私がそもそも本が好きだから)
インセプションデッキ⑤ やらないことリスト
技術的な解決策
⾃分から⽸詰合宿
寝ない
時間が限られる著者2⼈。同期のための合宿は⽉1-2回
夜の時間を使う。基本的には眠る時間を減らす。徹夜数回。
インセプションデッキ⑥ 技術的な解決策
レビューはユーザーテスト
20名以上の皆さんによるレビュー。感謝しかありません。
技術的な解決策
読む、ひたすら読む
テストコードやCIがないので、バグの検知が⼈⼒。
① 仕様の認識違い → (専⾨家) レビュー
② ユーザビリティ(読みやすさ)の問題 → レビュー & ひたすら読む
③ 誤字脱字、直し漏れ → ひたすら読む
推敲(頭から最後まで通しで読み、直す) 7回。
インセプションデッキ⑥ 技術的な解決策
「ざらざら」を「つるつる」にする
書籍「リーン開発の現場」の翻訳時に、師匠に教えてもらった⾔葉。
⾃分たちが名⽂を書けるわけではない。だったら、
“下⼿くそは時間をかけるしかない” (by 師匠)
を胸に、読み続けるしかない。
最初はざらざら、ごつごつした感じで読みにくい⽂章も、
何度も何度も読み直して、推敲を上塗りしていくことで、
読みやすくなる。つるつるになる。
インセプションデッキ⑥ 技術的な解決策
トレードオフスライダー
Q > D > S > C
① 品質(Q) … つるつるになるまで
② 納期(D) … 締め切りは勿論決まっている
③ 範囲(S) … 終盤戦で1章分丸ごと追加、付録の「価値原則」追加
④ 費⽤(C) … ⾃分たちがキーを打たないと絶対に完成しない。
       お⾦で解決できることはお⾦で。 (合宿、イラスト)
インセプションデッキ⑦ トレードオフスライダー
夜も眠れない問題
3回挫折 → できるのか?
インセプションデッキ⑧ 夜も眠れない問題
(むしろ眠らないことが解決策だけど)
間に合うのか?
最初の構想は2014年。別の出版社にて。会社の⽴ち上げと
時期が完全に被り、ギブアップを2回。
新たにスタートした2017年。
しかし、最初の共著者が離脱。ぼっちでは流⽯に間に合わない。
新井さんに声をかける。結果、最後までジャーニーができた。
つまり、
⾃分でやるしかない。
インセプションデッキ⑧ 夜も眠れない問題
だからこそ、バディはかけがえが無いんだ。
執筆に限らず、仕事や取り組みなんかを進めるにあたって
やれない理由はいくらでもある。「でも、進めるんだよね?」
という問いに答えるのは、最後は⾃分しかいない。
ぼっちで孤独な戦いを進める覚悟を決める。
でも、⾃分の問いが独りよがりのものでなければ、きっと
巻き込まれてくれる⼈は出てくる。その⼈を死ぬほど⼤事にすべき。
期間をみきわめる
構想から数えると、4年。
インセプションデッキ⑨ 期間をみきわめる
実質的に書いたのは、4ヶ⽉。
2014年→2017年
2017年8⽉→12⽉
何がどれだけ必要か
ありったけの、パッション。
インセプションデッキ⑩ 何がどれだけ必要か
あとがきに代えて
インセプションデッキ⑨ 期間をみきわめる
※⾔うべきことはあとがきに書きました。
 ここでは、今、⾔葉にしたいことを。
われわれはなぜここにいるのか?
仕事をしていると、⽣きていると、この問いに答えられない
時だってある。
答えを⾒失いながら、あるいは問いを忘れるようにして、
⽇々を過ごすというのは、別に悪いことではない。
でも、答えられないことが重たくなってきた時、どうしても
向き合わないといけない。
われわれは、わたしは、なぜここにいて、何をしたいのか?
…この問いに向き合って、答えが出せない⽇々はツライ。
⼤切なのは、答えではなくて問い
でも、⼤切なのは、答えの⽅ではない。
なぜなら、答えなんて、状況や受け取り⽅によって、
その良し悪しなんて、如何ようにでも変わるのだから。
例えば、「正しいものを正しくつくる」という⾔葉があるけど
⼤事なのはその具体的な中⾝ではなくて、
「正しいものを正しくつくるためにはどうあるべきなの?」
という問いの⽅がより良い状況を⽣むはず。
例えば「あなたは何者なのか」という問い
作中に「あなたは何者なのか」という問いがある。
カイゼン・ジャーニーというストーリーは、
この問いを追いかける旅でもある。
⼈を⽴ち返らせるほどの問いは、
⽣きていく中で不意に現れる。
良い問いを得るというのは、
とても貴重なこと。
⾒逃してはいけない。
⽣きるとは、問いをつくり続けること
仕事をしたり、⽣きている上で、その時々、
問いも、勿論、答えも⼀定ではない。
ましてや、他⼈が問いを与えてくるなんてこと、待ったり、
信じたりするほど、⼈⽣は⻑くはない。だから、
⾃分で、⾃分のための問いかけをつくる、つくり続ける!
というのが、⽣きるってことなんじゃないかな。
このことに気付けるのが「不惑」なんだと理解した。
あなたの⽴ち返りの問いは何?
・・・。
⼤丈夫!
いろんな物語に触れよう。
そして、⾃分の物語を紡ごう。
問いは、
⼈の⽣きざま(ストーリー)の中に現れる。
Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
楽しいジャーニーを。

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