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文章作成の基礎
本日の講義内容
① 単語・文 (前半)
② 段落・論文の構成 (後半)
本日の講義内容
① 単語・文
② 段落・論文の構成
なぜ言語を学ぶ必要があるのか?
言語は人間活動の基礎!
• 文章を読む(Read)・書く(Write)
• 会話で聞く(Listen)・話す(Speak)
• 質問する(Question)・回答する(Answer)
• 発表する(Presentation)
…なのに、学ぶ機会は意外と少ない
「書けているつもり」
「話せているつもり」になっていませんか?
「つもり」のパターン
• 「書くのは苦手だが話すのは得意」
→ 聞き手の想像力に頼っていませんか?
• 「読んで分からなくても音だと分かる」
→ 一部の単語だけを理解していませんか?
• 「教科書より動画の方が理解しやすい」
→ 論理ではなく感覚で捉えていませんか?
※伝達内容の性質や心身の特性も関係しうる
文章の要素 (例)
単
語
文
節
文
段
落
節
章
文
章
論文
序論
背景
段落
主題文
主語
名詞
助詞
述語
目的語
補語
支持文
支持文
段落
目的
構成
方法
結果
考察
結論
※分類にはいろいろな考え方がある
文章の要素 (例)
単
語
文
節
文
段
落
節
章
文
章
論文
序論
背景
段落
主題文
主語
名詞
助詞
述語
目的語
補語
支持文
支持文
段落
目的
構成
方法
結果
考察
結論
※分類にはいろいろな考え方がある
表現
(単語・記号)
内容
(意味・概念)
単語(word)
1つの内容(意味)に1つの表現(単語)を対応させる!
※数学的な言い方:
内容集合の要素と表現集合の要素を1:1対応させる
「ユーザー」
表現
(単語・記号)
内容
(意味・概念)
単語(word)
1つの内容(意味)に1つの表現(単語)を対応させる!
×の例: 表記ゆれ
1つの内容に複数の表現が対応する
「ユーザ」
「ユーザー」
「user」
表現
(単語・記号)
内容
(意味・概念)
単語(word)
1つの内容(意味)に1つの表現(単語)を対応させる!
×の例: 同義語
1つの内容に複数の表現が対応する
「ユーザ」
「利用者」
「使用者」
表現
(単語・記号)
内容
(意味・概念)
単語(word)
1つの内容(意味)に1つの表現(単語)を対応させる!
×の例: 多義語
複数の内容に1つの表現が対応する
「本実験」
今回の実験
本番の実験
(予備実験の後で行う)
表現
(単語・記号)
内容
(意味・概念)
単語(word)
1つの内容(意味)に1つの表現(単語)を対応させる!
○の例:
「この実験」
「本実験」
今回の実験
本番の実験
Work1: 「似た言葉」を探す
1. 各自の論文原稿を読み、
「意味が似ている言葉」を見つける
➢ 名詞や動詞、「~することができる」と「~でき
る」など、見つかるものを一通り挙げましょう
➢ 見つけたら「蛍光ペン」や「コメント」の機能で
記録しておきましょう
2. 見つけた言葉の組を、
Work1のフォームに記入して送信
※「使い分けできているかどうか」の吟味は、
今はやらずに、後でじっくり考えましょう
Work1: 「似た言葉」を探す
似た表現は「揃える」か「使い分ける」
• 異なる意味で使い分けているなら、
表現を無理に揃える必要はない
(使い分けが読者を混乱させないか検討)
• 同じ意味の表現を揃えるときは、
字数の少ない表現に揃えるとよい
(字数の長い表現に揃えると冗長になる)
表現
(単語・記号)
内容
(意味・概念)
単語の定義
重要な用語や独自の記号は、最初に意味を定義する!
定義(define): ある内容とある表現を対応付けること
「たま」
「ポチ」
本実験のネコ
本実験のイヌ
単語の定義
重要な用語や独自の記号は、最初に意味を定義する!
定義(define): ある内容とある表現を対応付けること
※「という」「とよぶ」「とする」等の言葉を使う
(例)
• 以下では、本実験で用いるネコを「たま」、イヌ
を「ポチ」とする。
• 本実験では、3匹のネコ𝑐1, 𝑐2, 𝑐3と3匹のイヌ
𝑑1, 𝑑2, 𝑑3を用いる。
• 特に、3個の角からなる多角形を三角形とよぶ。
単語の定義
用語の意味を定義せずに使う
→ 単語の解釈が読者の主観に委ねられる
→ 人により単語から想像する例が異なる
→ 人により単語の解釈が異なる
→ 人により文全体の捉え方が変わる
→ 著者が伝えたいことが伝わらない
意図した通りの事柄を伝えるためには、
用語の意味を明示して定義することが重要
Work2: 言葉の定義を考える
1. Work2のフォームに記入
テーマ「スポーツだと思うもの」
2. 「あなたがスポーツだと思うもの」と
「スポーツだと思わないもの」を線引き
できる「スポーツ」の定義を考える
(例)「●●●●●●をスポーツという」
3. フォームを送信できたら、2~3名で共有
Work2: 言葉の定義を考える
各自の「定義」が適切なものであるかを、
スポーツに含まれるか微妙な例で検討する
スポーツ スポーツでない
微
妙
な
例
形式名詞・補助用言
本来の意味が薄い語は原則「かな書き」
• 「~するとき」「このことから」
「このように」「~したため」
(「時間/事柄/様子/利益」と置き換え可?)
• 「保管しておく」「~とみられる」
「~ということ」「調べている」
(実際に「置いた/見た/言った/居た」か?)
• 「行かない」
文章の要素 (例)
単
語
文
節
文
段
落
節
章
文
章
論文
序論
背景
段落
主題文
主語
名詞
助詞
述語
目的語
補語
支持文
支持文
段落
目的
構成
方法
結果
考察
結論
※分類にはいろいろな考え方がある
文(sentence)
原則では、主語Sと述語Vを対応させ、
「SがVした」という1つの事柄を述べる
• (ただし)日本語では主語を省略することが多い
• 「私は」という主語は主観が強いため、
論文では省略することが多い
(必要な場合も「筆者は」を使う)
• 主語を省略しても、主語が何かを意識する
文(sentence)
「ねじれ文」: 主語と述語が対応しない文
×の例:
• 「あの学生は大学への入学を許可した」
• 「この小説は来年に映画化する」
• 「インターネットはとても便利なので好きだ」
文(sentence)
「ねじれ文」: 主語と述語が対応しない文
×の例:
• 「あの学生は大学への入学を許可した」
• 「この小説は来年に映画化する」
• 「インターネットはとても便利なので好きだ」
述語
主語
文(sentence)
「ねじれ文」: 主語と述語が対応しない文
×の例:
許可された
許可した
あの学生
●●大学
述語
主語
文(sentence)
「ねじれ文」: 主語と述語が対応しない文
○の例:
許可された
許可した
あの学生
●●大学
文(sentence)
「ねじれ文」: 主語と述語が対応しない文
○の例:
• 「あの学生は大学への入学を許可された」
「大学はあの学生の入学を許可した」
• 「この小説は来年に映画化される」
「ある脚本家がこの小説を来年に映画化する」
• 「インターネットはとても便利なので、私は
インターネットが好きだ」
(「好き」なのは「発言者(= 私)」)
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
×の例: 複文
複数の事柄を1つの文で述べる
「調査の結果、A群では得点の平均が11点
となり、一部の設問で正答率が低かった一
方で、B群では得点の平均が22点となり、分
散の値もA群より小さくなった。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
×の例: 複文
複数の事柄を1つの文で述べる
「調査の結果、A群では得点の平均が11点
となり、一部の設問で正答率が低かった一
方で、B群では得点の平均が22点となり、分
散の値もA群より小さくなった。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
×の例: 複文
複数の事柄を1つの文で述べる
「調査の結果、A群では得点の平均が11点
となり、一部の設問で正答率が低かった。
一方で、B群では得点の平均が22点となり、
分散の値もA群より小さくなった。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
×の例: 複文
複数の事柄を1つの文で述べる
「調査の結果、A群では得点の平均が11点
となり、一部の設問で正答率が低かった。
一方で、B群では得点の平均が22点となり、
分散の値もA群より小さくなった。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
○の例: 単文
「調査の結果、A群では得点の平均が11点
となった。特に、一部の設問で正答率が低
かった。一方で、B群では得点の平均が22点
となった。また、分散の値もA群より小さく
なった。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
○の例: 単文
「調査の結果、A群では得点の平均が11点
となった。特に、一部の設問で正答率が低
かった。その一方で、B群では得点の平均が
22点となった。また、分散の値もA群より
小さくなった。」
全ての文を単文に解体する必要はないが、
文が長くなる癖があればバラす癖をつける
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
×の例: 複文
複数の事柄を1つの文で述べる
「この結果から、A群よりB群が優秀だと分
かったが、A群にも上位の学生がいるため、
一概にB群の学生がよいとはいえない一方で
、A群の下位の学生はB群の学生との差が大
きくなっている。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
×の例: 複文
複数の事柄を1つの文で述べる
「この結果から、A群よりB群が優秀だと分
かったが、A群にも上位の学生がいるため、
一概にB群の学生がよいとはいえない一方で
、A群の下位の学生はB群の学生との差が大
きくなっている。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
×の例: 複文
複数の事柄を1つの文で述べる
「この結果から、A群よりB群が優秀だと分
かった。だが、A群にも上位の学生がいるた
め、一概にB群の学生がよいとはいえない。
一方で、A群の下位の学生はB群の学生との
差が大きくなっている。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
×の例: 複文
複数の事柄を1つの文で述べる
「この結果から、A群よりB群が優秀だと分
かった。だが、A群にも上位の学生がいるた
め、一概にB群の学生がよいとはいえない。
一方で、A群の下位の学生はB群の学生との
差が大きくなっている。」
逆接の接続詞×2
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
○の例: 単文かつ逆接が少ない
(「逆接×2 = 順接」なので、逆接を減らす)
「この結果から、A群よりB群が優秀だと分
かった。特に、A群の下位の学生はB群の学
生との差が大きくなっている。一方で、A群
にも上位の学生がいるため、一概にB群の学
生がよいとはいえない。」
文(sentence)
1つの事柄を1つの文で述べる! (一文一義)
○の例: 単文かつ逆接が少ない
(「A but 𝐵 but 𝐶 = 𝐴 and 𝐶 but 𝐵」)
「この結果から、A群よりB群が優秀だと分
かった。特に、A群の下位の学生はB群の学
生との差が大きくなっている。一方で、A群
にも上位の学生がいるため、一概にB群の学
生がよいとはいえない。」
順接の接続詞 逆接の接続詞
Work3: 複文 → 単文
1. 2名でペアを作り「質問者」「回答者」
を決める
2. 次のスライドのQとA(どちらも複文)を
複数の文に分けて、相手に伝わりやすい
「質問」(or「回答」)を1分間考える
(※表現は言いやすいよう変えてもよい)
3. ペアで、以下の順で話す
「質問者が質問」→「回答者が回答」
Work3: 複文 → 単文
Q. 私はこの調査結果がとても興味深いと思
ったのですが、例えばQ3の質問に対して、
B群では、A群の45%という割合よりも高い
53%の人が肯定的な回答をしていることが
面白いと思って、なぜかというと、私も前
に似た調査をしたときに全く逆の結果にな
ったからなのですが、これはどうしてこう
なったのか、こういうことではないかとい
う考察があれば、調査を行った立場での感
触を教えていただければと思います。
Work3: 複文 → 単文
A. はい、私もこの結果、Q3の結果ですね、
これはとても面白いと思っていて、私も関
連する論文を事前に読んだのですが、論文
によって結果が違っていて、どうしてなん
だろうと考えながら調査してみて、回答中
の様子を見ていたら、A群の人は調査中に、
なんていうか、もうぐったりしていて、B群
の人がまだ楽しそうだったのに、A群は精神
力っていうんですか、根気というか、そう
いう部分が違ったと思っています。
文体(style)・文末表現
基本は「である調」(常体)
×「だから」「一番」「~なのに」(口語体)
×「~です/~ます」「●●先生」(敬体)
×「~なのだ/~のである」(感情的)
×「なぜ~なのだろうか」(疑問)
×「 ~してほしい」(語りかけ)
×「まるで~のような」(比喩)
×「~すること。」(体言止め)
※実は「~である」もあまり使わない
文に関するその他の留意事項
音読すると修正箇所を見つけやすい
(「ぶつぶつ」ではなく明瞭に声に出す)
• 読点の打ち方 (読点では1拍分の間をおく)
意味上の区切りに基づく規則はあるが、
読む上で適切な所に点を打つことも多い
• 助詞の使い方
「てにをは」の用法は定まっているが、
厳密に使わずとも、違和感がなければOK
並列の「たり」は重ねて使うことも注意
本日の講義内容
① 単語・文
② 段落・論文の構成
文章の要素 (例)
単
語
文
節
文
段
落
節
章
文
章
論文
序論
背景
段落
主題文
主語
名詞
助詞
述語
目的語
補語
支持文
支持文
段落
目的
構成
方法
結果
考察
結論
※分類にはいろいろな考え方がある
段落(paragraph)
複数の文からなる意味上のまとまり
形式的な文章は段落の構成が決まっている
• Topic sentence (主題文)
– 段落の1文目。
– 段落の内容を要約して書く。
• Supporting sentences (支持文)
– 段落の2文目以降。
– Topic sentenceの説明や補足を詳しく書く。
段落(paragraph)の例
この本は、文章構成の練習と文学の研究とを兼ねた英語のコー
スで使われることを想定している。この本では、平易な英語のス
タイルに関する一番大事な必要条件を、手短に示すつもりだ。こ
の本では、いくつかの本質的要素、つまり最も間違えられること
が多い語法のルールおよび文章構成の原則とに注意力を集中する
ことにより、講師と生徒の負荷を軽減することをねらっている。
セクションの番号は原稿を修正する際のリファレンスとして役に
立つだろう。
この本は英語のスタイルという分野のほんのわずかの部分をカ
バーするに過ぎない。だが筆者の経験では、いったん本質的な要
素をものにしてしまえば、生徒にとって一番効果が高いのは自分
が書いた文章の問題点に基づいて個別指導を受けることであり、
講師はみなそれぞれ自分なりの理論体系を持っていて、どんな教
科書で示されたものよりも自分の理論体系を好むものだ。
(Strunk 『The Elements of Style』(1918)(森田訳))
段落(paragraph)の例
この本は、文章構成の練習と文学の研究とを兼ねた英語のコー
スで使われることを想定している。この本では、平易な英語のス
タイルに関する一番大事な必要条件を、手短に示すつもりだ。こ
の本では、いくつかの本質的要素、つまり最も間違えられること
が多い語法のルールおよび文章構成の原則とに注意力を集中する
ことにより、講師と生徒の負荷を軽減することをねらっている。
セクションの番号は原稿を修正する際のリファレンスとして役に
立つだろう。
この本は英語のスタイルという分野のほんのわずかの部分をカ
バーするに過ぎない。だが筆者の経験では、いったん本質的な要
素をものにしてしまえば、生徒にとって一番効果が高いのは自分
が書いた文章の問題点に基づいて個別指導を受けることであり、
講師はみなそれぞれ自分なりの理論体系を持っていて、どんな教
科書で示されたものよりも自分の理論体系を好むものだ。
(Strunk 『The Elements of Style』(1918)(森田訳))
段落(paragraph)
段落(paragraph)の例
この本は、文章構成の練習と文学の研究とを兼ねた英語のコー
スで使われることを想定している。この本では、平易な英語のス
タイルに関する一番大事な必要条件を、手短に示すつもりだ。こ
の本では、いくつかの本質的要素、つまり最も間違えられること
が多い語法のルールおよび文章構成の原則とに注意力を集中する
ことにより、講師と生徒の負荷を軽減することをねらっている。
セクションの番号は原稿を修正する際のリファレンスとして役に
立つだろう。
この本は英語のスタイルという分野のほんのわずかの部分をカ
バーするに過ぎない。だが筆者の経験では、いったん本質的な要
素をものにしてしまえば、生徒にとって一番効果が高いのは自分
が書いた文章の問題点に基づいて個別指導を受けることであり、
講師はみなそれぞれ自分なりの理論体系を持っていて、どんな教
科書で示されたものよりも自分の理論体系を好むものだ。
(Strunk 『The Elements of Style』(1918)(森田訳))
Topic sentence
段落(paragraph)の例
この本は、文章構成の練習と文学の研究とを兼ねた英語のコー
スで使われることを想定している。この本では、平易な英語のス
タイルに関する一番大事な必要条件を、手短に示すつもりだ。こ
の本では、いくつかの本質的要素、つまり最も間違えられること
が多い語法のルールおよび文章構成の原則とに注意力を集中する
ことにより、講師と生徒の負荷を軽減することをねらっている。
セクションの番号は原稿を修正する際のリファレンスとして役に
立つだろう。
この本は英語のスタイルという分野のほんのわずかの部分をカ
バーするに過ぎない。だが筆者の経験では、いったん本質的な要
素をものにしてしまえば、生徒にとって一番効果が高いのは自分
が書いた文章の問題点に基づいて個別指導を受けることであり、
講師はみなそれぞれ自分なりの理論体系を持っていて、どんな教
科書で示されたものよりも自分の理論体系を好むものだ。
(Strunk 『The Elements of Style』(1918)(森田訳))
Supporting
sentences
Work4: Paragraph writing
1. 先の2名ペアで「質問者」「回答者」の
立場を入れ替える
2. 次のスライドのQとAについて、段落の
構成を意識し、相手に伝わりやすい「質
問」(or「回答」)を2分間考える
(※表現は言いやすいよう変えてもよい)
3. ペアで、以下の順で話す
「質問者が質問」→「回答者が回答」
Work4: Paragraph writing
Q. 私はこの調査結果がとても興味深いと思
ったのですが、例えばQ3の質問に対して、
B群では、A群の45%という割合よりも高い
53%の人が肯定的な回答をしていることが
面白いと思って、なぜかというと、私も前
に似た調査をしたときに全く逆の結果にな
ったからなのですが、これはどうしてこう
なったのか、こういうことではないかとい
う考察があれば、調査を行った立場での感
触を教えていただければと思います。
Work4: Paragraph writing
A. はい、私もこの結果、Q3の結果ですね、
これはとても面白いと思っていて、私も関
連する論文を事前に読んだのですが、論文
によって結果が違っていて、どうしてなん
だろうと考えながら調査してみて、回答中
の様子を見ていたら、A群の人は調査中に、
なんていうか、もうぐったりしていて、B群
の人がまだ楽しそうだったのに、A群は精神
力っていうんですか、根気というか、そう
いう部分が違ったと思っています。
文章の要素 (例)
単
語
文
節
文
段
落
節
章
文
章
論文
序論
背景
段落
主題文
主語
名詞
助詞
述語
目的語
補語
支持文
支持文
段落
目的
構成
方法
結果
考察
結論
※分類にはいろいろな考え方がある
論文の構成は学問分野により異なる
65
自然科学
数学・論理学
物理学・化学
自然科学はIMRaD形式
IMRaD形式:
Introduction, Method,
Result and Discussion
生物学・医学
社会科学
経済学・経営学
社会学・教育学
社会科学も
IMRaD形式が多い
心理学・情報学
人文科学
文学・哲学
歴史学・民俗学
人文科学論文では多様
理論の構成自体を作る
ことが重要な分野なため
法学・言語学
※学問分野の分類にはいろいろな分け方がある
論文の構成(IMRaD形式)
序論 (Introduction)
背景 (Background) 論文の必要性や意義を示す
目的 (Purpose) 論文で明らかにする問いを示す
構成 (Structure) 論文の章構成を示す
本論 (Body)
手法 (Method) 問いを明らかにする方法を示す
結果 (Result) 手法を使った結果を示す
考察 (Discussion) 結果を解釈し問いの答えを示す
結論 (Conclusion)
貢献 (Contribution) 論文が行った貢献を示す
展望 (To Do) 今後調査・考察すべきことを示す
論文の構成(人文科学系)
序論 (Introduction)
背景 (Background) 論文の必要性や意義を示す
目的 (Purpose) 論文で明らかにする問いを示す
構成 (Structure) 論文の章構成を示す
本論 (Body)
??? 本論の中の章 (適切な内容を検討)
??? 本論の中の章 (適切な内容を検討)
??? 本論の中の章 (適切な内容を検討)
結論 (Conclusion)
貢献 (Contribution) 論文が行った貢献を示す
展望 (To Do) 今後調査・考察すべきことを示す
論文の構成(人文科学系)
• 研究目的を達成するために必要な
章・節の構成(見出し)を各自で検討し、
論文の目次(outline)を作る
• 担当教員に論文の目次を見せ、
現在の構成で問題ないか確認してもらう
– 結論までの論理や記述の順序が妥当か
– 記述する内容に過不足や偏りがないか
• 途中で見出しを変えるときも教員に確認する
文章の要素 (例)
単
語
文
節
文
段
落
節
章
文
章
論文
序論
背景
段落
主題文
主語
名詞
助詞
述語
目的語
補語
支持文
支持文
段落
目的
構成
方法
結果
考察
結論
※分類にはいろいろな考え方がある
論文の構成(共通)
• 自然言語(日本語)か数式かの差はあれど、
文章を書くことは証明を作ることと同じ!
– 数式で表せない事柄が多いほど難しくなる
– 引用する文献(論文)が命題や定理と対応する
• 論文は客観的な内容のみを記述する
– 研究テーマを選んだ動機は書かない
– 研究に取り組んだ感想は書かない
– 「調べた」「分かった」の使い方に注意
(本当に調べた? 著者が知らなかっただけ?)
完成時に答えられるべき質問
発表時の質疑応答で聞かれる質問ですが、
当然、論文に書いておくべき内容です
Q.「この研究はなぜ必要なのか?」
A.「_____________________」
Q.「この研究はどう役立つのか?」
A.「_____________________」
Q.「この研究の貢献は何か?」
A.「_____________________」
Q.「この研究と似た研究には何があるか?」
A.「_____________________」
Q.「この研究は他の研究とどう違うか?」
A.「_____________________」
本日の講義内容
① 単語・文
② 段落・論文の構成
Work5: (任意)
論文作成や発表に関する質問を送ってください。
頂いた質問への回答は、後日返却します。
• 記入は任意でOKです
• 今回扱わなかった研究全般の質問もOKです
• Work5のGoogle Formに記入してください
• 今回の感想がもしあれば、合わせてどうぞ
(感想だけの記入でもOKです)
連絡&質疑
質問や連絡がありましたらどうぞ
参考文献
• 岡本(2017)『課題研究メソッド』啓林館
(とてもよくまとまった書籍なので、使い倒しましょう!)
• Strunk(1918)『The Elements of Style』
https://www.bartleby.com/141
• Strunk(1918)『The Elements of Style』
http://www.kt.rim.or.jp/~hisashim/elementsofstyle/elementsofstyle.html
(森田訳)

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