21. 域内取引 の促進 ー発注先選択 のケース
ここに、 HP デザインを外注したい A 社があるとする。外注先を募集したところ最終的に B 社と C 社の二社に絞り
込まれた。 B 社と C 社が提供できるサービスは、いずれもまったく同じレベルである。あとは、どちらがより安い価
格を提示できるか、という部分が決め手になる。それに対して、両社が提示してきた価格は、それぞれ A 社が8万円+
2万 cc 、 B 社が10万円であった。ここでもし A 社が2万 cc の地域通貨をもっていたとしよう。その場合、 A 社は
間違いなく B 社を選ぶことになるだろう。
この例でわかるように、商取り引きをおこなう場合、地域通貨ネットワーク内での域内取引の方が、発注先(消費者
側)にとって有利になる。また受注者(生産者側)にとっても、域外のライバル企業に対して地域通貨使用の分だけ優
位性をもつことになる。
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23. 対外取引 の促進 ー受注利益向上 のケース
A 社は X 社から HP 構築を100万円で受注した。しかし、 A 社だけでは力不足なので、 A 社が企画を、 B 社がデザ
インを、そして C 社がプログラム部分を担当する、という形で分担して仕事を進めることにした。通常ならば、 B 社に
30万円、 C 社に30万円を外注費として支払い、 A 社のもとに残るのは、40万円だけである。ここでもし、外注費
を地域通貨で支払ったらどうだろうか? A 社には100万円まるまる残ることになる。もちろん A 社は B 社、 C 社に
それぞれ30万円、計60万円相当の地域通貨を提供する(すなわち労力を提供する)という負債は残るだろう。だが
、円貨の60万円を獲得するのと、60万円相当の地域通貨を獲得するのと、 A 社にとってはどちらがより容易であろ
うか? いうまでもなく後者である。
この例でわかるように、域外企業から仕事を受注した場合、受注企業は地域通貨ネットワーク内で外注先を探した方
が、域外企業に外注に出すよりも有利となる。
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25. 対外取引 の促進 ー価格競争力向上 のケース
A 社が X 社から HP 構築を100万円で受注したとしよう。通常ならば、 A 社に残る利益は外注先に支払った残りの
40万円であった。ここで、仮に外注先への支払いをすべて地域通貨でまかなえるとしたらどうだろうか。 A 社は受注
金額を40万円まで引き下げることが可能になるはずだ。なぜなら、 A 社は最終的に40万円さえ手元に残ればよいの
だから。
この例からもわかるように、仕事を受注する場合、地域通貨参加企業は域外企業に対して価格競争力をもつことにな
る。
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35. 6 地域通貨( BASIC )の仕組み
(3)基本原理
LETS ( Local Exchange Trading System )=多角間決済システム
A (有機野菜)
0cc
1000cc
1000cc
(ソフト開発)
B
-1000cc
特徴
2000cc
C
+1000cc
・総取引額の合計は常に +- ゼロ
・紙幣類似証書を使わないため、法的規制がゆるい
・インターネットを使えば、決済がより容易に
基本原理 は LETS
BASIC の基本的な原理としては、前述した LETS ( Local Exchange Trading System )を採用する。その特徴は
、取引額の総計が常にプラスマイナスゼロであること、インターネットを使えば決済をはじめ、管理が容易である
ことなどがあげられる。また紙幣類似証書を使わないため、法的規制にも抵触しにくいなどのメリットがある。
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36. 6 地域通貨( BASIC )の仕組み
(4)取引方法
A の口座
100CC を振り込み
+100CC
B の口座
-100CC
100CC 相当の財を提供
A
B
インターネット or
携帯
で振り込み
・メンバーはあらかじめネット上に各自の口座をもつ
・ A (販売者)は、 B (購買者)へ 100CC 相当の財・サービスを提供する
・ B はその見返りに自分の口座から A の口座へ 100CC を振り込む
ネット 口座 による 取引
具体的な取引方法は次の通りである。
A が B に100 cc 相当の財・サービスを提供したとする。それに対して、 B はまずパソコンあるいは携帯電話を
使って HP 上に開設された自らの口座にアクセスする。そこで、 B は自らの口座にある100 cc を引き出し、同時に
A の口座に振り込む -- 。これで取引は完了である。ちなみにこれはすべて HP 上で完結する作業である。
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43. 6 地域通貨( BASIC )の仕組み
(8)円貨との併用
地域通貨は原則として円貨と併用する。
Ex. 円貨:地域通貨=80%:20%
並行通貨制 の原則
BASIC は、原則として円貨と並行して用いられる。なお BASIC の受け入れ比率は、1%〜100%まで各事業者が無理
のない範囲で、また事業活動にとってもっとも有益と思う比率でみずからの意志で決定してもらう。この並行通貨制のメ
リットは、次のようなものがある。
1、地域通貨分は実質的な値引きとなり、事業者は市場で優位に立てる(同時に円貨も獲得できる)。
2、円貨獲得が地域通貨使用の最終目的となることで、事業者の使用動機が高まる。
3、円貨を地域内にとどめ、域内での流通を促す効果をもつ(地域通貨による国民通貨の内部化)。
たとえば、ここに同じ農家レストランを営む A 社と B 社があるとする。 A 社と B 社の BASIC の受け入れ比率は、それぞ
れ20%、40%であったとしよう。その場合、1000円の料理に対して、 A 社では800円と200 cc 、 B 社では、
600円と400 cc を、それぞれ支払わねばならない。
さて、どちらがより多くの客を集めるだろうか。 B 社である。なぜなら、 A 社は円貨を800円を支払わねばならない
のに対して、 B 社では600円しか支払わなくてよいからだ。もちろん地域通貨による支払い分を忘れてはいけない。だ
が、一般に円貨を獲得するより、地域通貨を獲得することのほうが、比較的容易である。そのため、600円しか円貨を
支払わなくともよい B 社の方が、最終的に客を集めることとなろう。
もっとも、 B 社にしても、一定量の円貨は必要であろう。したがって、 BAISC の受け入れ比率をどのレベルに設定する
かは、その利益構造とからめて最終的に各事業主が決定すべき戦略的な事項といえる。
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48. 8 取引循環イメージ
飲食店 A
営業 C
漬け物屋 B
飲食店 B
プログラマー A
WEB デザイナー H
農家レストラン N
大工 A
上場組合
プランナー H
有機農業家 L
旅館 B
デザイナー K
コピーライター B
デザイナー K
建築設計士 J
農家レストラン S
大工 B
有機農業家 E
ペンション M
飲食店 B
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53. 需給 リストを HP で公開
これは、需要者のニーズと供給者のシーズをリストアップ、それらを HP 上で公開する方法である。
1、買います(需要者)リストと、売ります(供給者)リストをそれぞれ別ページ立てで構成する。
2、取引される商品・サービスを整理して利用しやすいようにする。
3、分類方法は、種類別、業種別、さらにサービス提供者の場合は上場組合、種類毎、業種毎、毎に分類する。
4、可能であれば、すべてのデータを DB に格納し、キーワード毎に検索できるようにする。
なお、この HP を広告媒体とみなせば、ここからの収益も期待できる。
たとえば、
1、リスト掲載は無料
2、太字リストおよびバナー広告は有料
といった料金体系が考えられる。
※ 掲載料は円貨でもいいし、地域通貨でもよい。
※ 掲載料を基礎所得としてメンバー全員に再分配するという方法もある。
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54. 10 取引促進策
(3) DB 連動オプトインメール配信&入札システム
応札
入札
一斉メール配信
買いたい or 売りたい
A社
HP
応札登録
B社
応札情報
C社
D社
DB
E社
取引依頼登録( A 社)→一斉メール配信( HP)→ 応札 ( 応札企業)
HP
指名
A社
B社
C社
D社
DB
E社
応札登録(応札企業)→ A 社用応札情報ページ作成( HP )→指名( A 社 )
入札の例
プログラムの外注先募集、有機野菜セールの告知等々
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55. DB 連動 オプトインメール配信&入札 システム
HP 上での需給リストの公開は、需要者が連絡してくるのを供給者がただひたすら待っている、という意味でいわば
「待ち」の営業である。これに対して、供給者が需要者の元へ積極的に PR する、という「攻め」の営業があってもいい
はずだ。 DB 連動オプトインメール配信&入札システムは、こうした攻めの営業を支援するツールである。
その仕組みは以下の通りである。 ※供給者の情報はあらかじめ DB 化されている。
1、取引(売りたい or 買いたい)を求める A 社は HP にアクセスし、取引条件を入力する(入札管理用ページが A 社の
ために自動作成される)。
2、 A 社が入力した情報は、あらかじめその情報に対してオプトインすることを承諾した供給者(応札企業)のもとへ
自動配信される。
3、応札企業は、配信されたメールを読み、取引条件に納得した上で応札する(応札は HP 上から可能)。応札情報は
、 A 社の入札管理用ページに自動的に反映される。
4、 A 社は、入札管理用ページをみながら、どの業者に発注するかを決定する。
なお、使用料を有料とすることで、このシステムからの収益も期待できる。ただし、有料にしてしまうと利用頻度が
減ってしまうおそれがある。そのため、たとえば、
1、「買いたい」入札は無料。
2、「売りたい」入札は有料。
とするのも一法であろう。
※ 使用料は円貨でもいいし、地域通貨でもよい。
※ 使用料を基礎所得としてメンバー全員に再分配するという方法もある。
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