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ネットワークの基礎勉強会 「IPアドレスの計算」
2
目次
ネットワーク技術の概要
IPアドレスについて
IPアドレスの計算演習
3
OSI参照モデル
ネットワーク技術は、国際標準化機構(ISO)によって定義されたOSI参照モデルによって、
通信機能毎の階層構造になっている。
第7層(レイヤ7) アプリケーション層
第6層(レイヤ6) プレゼンテーション層
第5層(レイヤ5) セッション層
第4層(レイヤ4) トランスポート層
第3層(レイヤ3) ネットワーク層
第2層(レイヤ2) データリンク層
第1層(レイヤ1) 物理層
このモデルに準拠することで、ベンダに依存することなく、相互運用性が実現される
4
第7層(レイヤ7) : アプリケーション層
アプリケーション層は、アプリケーション固有の通信サービスを実現するための機能を定
義する。電子メールやWebページの閲覧、ファイル転送などサービスの数だけアプリケー
ションが存在する。
第7層(レイヤ7) アプリケーション層
第6層(レイヤ6) プレゼンテーション層
第5層(レイヤ5) セッション層
第4層(レイヤ4) トランスポート層
第3層(レイヤ3) ネットワーク層
第2層(レイヤ2) データリンク層
第1層(レイヤ1) 物理層
通信の主体は、アプリケーション
5
第6層(レイヤ6) : プレゼンテーション層
プレゼンテーション層は、文字コードやデータの暗号化、圧縮方式などの表現形式を定義
している。コンピュータやソフトウェアの種類によって、送信側と受信側で使用するデータ
の表現方法が異なると、「文字化け」などが起こり、受信した情報を使えなくなることがある。
第7層(レイヤ7) アプリケーション層
第6層(レイヤ6) プレゼンテーション層
第5層(レイヤ5) セッション層
第4層(レイヤ4) トランスポート層
第3層(レイヤ3) ネットワーク層
第2層(レイヤ2) データリンク層
第1層(レイヤ1) 物理層
通信するアプリケーション同士が理解できる形式にデータを変換する
6
第5層(レイヤ5) : セッション層
セッション層は、アプリケーションプロセスを識別し、アプリケーション対アプリケーションの
セッションを確立・維持・終了するための機能を定義する。
第7層(レイヤ7) アプリケーション層
第6層(レイヤ6) プレゼンテーション層
第5層(レイヤ5) セッション層
第4層(レイヤ4) トランスポート層
第3層(レイヤ3) ネットワーク層
第2層(レイヤ2) データリンク層
第1層(レイヤ1) 物理層
送信データを受信側の正しいアプリケーションプロセスに届くようにする
7
第4層(レイヤ4) : トランスポート層
トランスポート層は、送受信を行うノード対ノードでの通信の“信頼性”を保証するための機
能やアプリケーション間でセッションを開始するために必要となるポート番号の割り当てを
定義する。
第7層(レイヤ7) アプリケーション層
第6層(レイヤ6) プレゼンテーション層
第5層(レイヤ5) セッション層
第4層(レイヤ4) トランスポート層
第3層(レイヤ3) ネットワーク層
第2層(レイヤ2) データリンク層
第1層(レイヤ1) 物理層
ポート番号は、トランスポート層で割り当てられる
8
第3層(レイヤ3) : ネットワーク層
ネットワーク層は、異なるネットワーク上にあるノード間の通信を実現するための機能を定
義する。異なるネットワークとは、ルータによって分断されたネットワーク間の通信のこと。
異なるネットワーク間の通信で使用されるアドレスが、「IPアドレス」という。
第7層(レイヤ7) アプリケーション層
第6層(レイヤ6) プレゼンテーション層
第5層(レイヤ5) セッション層
第4層(レイヤ4) トランスポート層
第3層(レイヤ3) ネットワーク層
第2層(レイヤ2) データリンク層
第1層(レイヤ1) 物理層
IPアドレスは、ネットワーク層で使用されるアドレス
9
第2層(レイヤ2) : データリンク層
データリンク層は、1つの回線に接続されたノード間の通信を定義する。ノードの識別には、
物理アドレスとも呼ばれるハードウェアアドレスが使用される(MACアドレス)。
第7層(レイヤ7) アプリケーション層
第6層(レイヤ6) プレゼンテーション層
第5層(レイヤ5) セッション層
第4層(レイヤ4) トランスポート層
第3層(レイヤ3) ネットワーク層
第2層(レイヤ2) データリンク層
第1層(レイヤ1) 物理層
MACアドレスは、データリンク層で使用されるアドレス
10
第1層(レイヤ1) : 物理層
物理層は、電気的および機械的な通信媒体について定義する。ケーブルの種類やケーブ
ルのコネクタの形状、電気信号の電圧などの仕様などがある。
第7層(レイヤ7) アプリケーション層
第6層(レイヤ6) プレゼンテーション層
第5層(レイヤ5) セッション層
第4層(レイヤ4) トランスポート層
第3層(レイヤ3) ネットワーク層
第2層(レイヤ2) データリンク層
第1層(レイヤ1) 物理層
受信した電気信号を「0」と「1」のビット列に変換してコンピュータ内に渡す
11
カプセル化と非カプセル化
カプセル化と非カプセル化とは、データを送信するときと受信するときにコンピュータ内で
行われるパッケージ化の処理のこと。送信するときにカプセル化、受信するときに非カプセ
ル化が行われる。
【送信時のデータ処理(カプセル化)】
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L4ヘッダ
L4ヘッダ
L4ヘッダ
L3ヘッダ
L3ヘッダ L2ヘッダ
参考資料:(株)インプレスジャパン CCNA/CCENT教科書 ICND1編
12
カプセル化と非カプセル化
カプセル化と非カプセル化とは、データを送信するときと受信するときにコンピュータ内で
行われるパッケージ化の処理のこと。送信するときにカプセル化、受信するときに非カプセ
ル化が行われる。
【受信時のデータ処理(非カプセル化)】
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L4ヘッダ
L4ヘッダ
L4ヘッダ
L3ヘッダ
L3ヘッダ L2ヘッダ
参考資料:(株)インプレスジャパン CCNA/CCENT教科書 ICND1編
13
ピアツーピア通信
送信側から受信側へ送られるデータは、OSI参照モデルの各層でカプセル化され、受信側
では非カプセル化される。これによって、同一の層では同一のヘッダ情報を使用して通信
する。階層ごとに同じ(同等の)プロトコルと通信する形態を、「ピアツーピア通信」という。
送信側
アプリケーション層
プレゼンテーション層
セッション層
トランスポート層
ネットワーク層
データリンク層
物理層
受信側
アプリケーション層
プレゼンテーション層
セッション層
トランスポート層
ネットワーク層
データリンク層
物理層
カプセル化 非カプセル化
レイヤ7
レイヤ6
レイヤ5
レイヤ4
レイヤ3
レイヤ2
レイヤ1
電気信号
参考資料:(株)インプレスジャパン CCNA/CCENT教科書 ICND1編
14
プロトコル
プロトコルとは、通信規約のこと。コンピュータ同士が通信をするために、あらかじめ決め
られたルール。このルールに従って処理されて通信ができる。
コンピュータ同士をケーブルで接続しただけでは、通信ができない。プロトコルが必要。
Webクライアント Webサーバ
【例: HTTP】
HTTPリクエスト
HTTPレスポンス
15
プロトコルデータユニット
プロトコルデータユニット(PDU)とは、ヘッダ部分とデータによってカプセル化されたデータ
の単位のこと。トランスポート層で扱うPDUを「セグメント」、ネットワーク層で扱うPDUを「パ
ケット」、データリンク層で扱うPDUを「フレーム」という。ただ、ネットワーク層以上のPDUは、
「パケット」と呼ばれることが多い。
送信側
アプリケーション層
プレゼンテーション層
セッション層
トランスポート層
ネットワーク層
データリンク層
物理層
受信側
アプリケーション層
プレゼンテーション層
セッション層
トランスポート層
ネットワーク層
データリンク層
物理層
カプセル化 非カプセル化
レイヤ7
レイヤ6
レイヤ5
レイヤ4
レイヤ3
レイヤ2
レイヤ1
電気信号
セグメント
パケット
フレーム
データ
参考資料:(株)インプレスジャパン CCNA/CCENT教科書 ICND1編
16
プロトコルデータユニット
プロトコルデータユニット(PDU)とは、ヘッダ部分とデータによってカプセル化されたデータ
の単位のこと。トランスポート層で扱うPDUを「セグメント」、ネットワーク層で扱うPDUを「パ
ケット」、データリンク層で扱うPDUを「フレーム」という。ただ、ネットワーク層以上のPDUは、
「パケット」と呼ばれることが多い。
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
ユーザデータ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L7ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L6ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L5ヘッダ
L4ヘッダ
L4ヘッダ
L4ヘッダ
L3ヘッダ
L3ヘッダ L2ヘッダフレーム
パケット
セグメント
データ
【PDU)】
17
TCP/IPプロトコルスタック
TCP/IPは、インターネットの標準プロトコルであり、全世界共通の通信プロトコルとして利用
されている。TCP/IPプロトコルスタックは、TCPとIPの2つのプロトコルを中心とするプロトコル
の集まりのこと。TCP/IPプロトコルスタックは、4階層で構成される。
OSI参照モデル TCP/IPプロトコルスタック プロトコル(代表的なもの) 役割
アプリケーション層
アプリケーション層
・ファイル転送: FTP, TFTP
・電子メール: SMTP, POP
・リモートログイン: Telnet, SSH
・名前解決: DNS
・Web閲覧: HTTP
・ネットワーク管理: SNMP
アプリケーション固有の
通信サービスを行う
プレゼンテーション層
セッション層
トランスポート層 トランスポート層 TCP, UDP
ノード間で信頼性のある
通信を保証する
ネットワーク層 インターネット層 IP, ICMP, ARP
異なるネットワーク上にある
ノード間の通信
データリンク層
ネットワークアクセス層 Ethernet, フレームリレー, PPP
同一リンク上に接続された
ノード間の通信
ビットと電気信号の相互変換物理層
TCP/IPが事実上の標準(ディファクトスタンダード)
18
パケットのカプセル化と非カプセル化の流れ
TCP/IPプロトコルスタックにおいても、データは送信側でカプセル化され、受信側で非カプ
セル化されて、通信が行われる。ルータではインターネット層まで非カプセル化してヘッダ
情報を確認し、再びカプセル化してデータを宛先まで転送する。
ルータでは宛先のIPアドレスを確認する
送信側
【データ転送の流れ】
アプリケーション層
トランスポート層
インターネット層
ネットワークアクセス層
ルータA ルータB
受信側
アプリケーション層
トランスポート層
インターネット層
ネットワークアクセス層
インターネット層
ネットワークアクセス層
インターネット層
ネットワークアクセス層
19
目次
ネットワーク技術の概要
IPアドレスについて
IPアドレスの計算演習
20
IPヘッダのフォーマット
インターネット層でカプセル化される際に、データの前に付加されるIPヘッダのフォーマット
バージョン ヘッダ長 サービスタイプ パケット長
識別番号 フラグ フラグメントオフセット
TTL プロトコル ヘッダチェックサム
送信元アドレス
宛先アドレス
オプション パディング
データ
ユーザデータ L7ヘッダ L6ヘッダ L5ヘッダ L4ヘッダ L3ヘッダパケット
21
自分が現在使用しているIPアドレス
IPアドレスは、IPネットワークでパケットを転送するために使用されるアドレスのこと。IPアド
レスは、特定のホストを一意に識別し、ネットワークを介してパケットを効率的に転送する
ための論理的なアドレス。IPネットワーク上のすべてのホスト(コンピュータ、ネットワークデ
バイス、周辺機器)は、一意のIPアドレスを持つ必要がある。
やってみよう!
WindowsPCの場合:
①「スタート」-「プログラムとファイルの検
索」で「cmd」と入力し、コマンドプロンプト
を起動する
②コマンドプロンプト上で、次のコマンド
を実行する
> ipconfig
③IPv4アドレスに表示されるのが、自分
のPCのIPアドレス
22
IPアドレスの構成
普段目にするIPアドレスは、人が理解しやすいよう、4つのオクテットに分割して10進数で
表記されている。もともとのIPアドレスの構成は32ビットの2進数。「0」と「1」が32桁並ぶ。
10進数表示 192. 168. 11. 6.
(第1オクテット) (第2オクテット) (第3オクテット) (第4オクテット)
00001011. 00000110.11000000. 10101000.
8ビット 8ビット 8ビット 8ビット
32ビット
2進数
11000000 . 10101000 . 00001011 . 00000110
23
IPアドレスの総数
IPアドレスは32ビットの2進数のため、総数は約43億個となる。
2
32
=4,294,967,296
≒43億
24
「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」
IPv4アドレスの枯渇のため、43億個のIPアドレスは「グローバルIPアドレス」と「プライベート
IPアドレス」で使い分けられている。
クラス 範囲
A
1.0.0.0 ~ 9.255.255.255
11.0.0.0 ~ 126.255.255.255
B
128.0.0.0 ~ 172.15.255.255
172.32.0.0 ~ 191.255.255.255
C
192.0.0.0 ~ 192.167.255.255
192.169.0.0 ~ 223.255.255.255
クラス 範囲
A 1.0.0.0 ~ 10.255.255.255
B 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255
C 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255
【プライベートIPアドレス】
【グローバルIPアドレス】
25
NATおよびPAT
NATおよびPATは、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換する技術
【NAT】 NATは、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの1対1変換
192.168.11.6 192.168.11.7
インターネット
1.1.1.1
外部ネットワーク内部ネットワーク
SA: 192.168.11.6
DA: 1.1.1.1
SA: 2.2.2.2
DA: 1.1.1.1
ローカルアドレス
SA : 192.168.11.6
グローバルアドレス
DA : 2.2.2.2
NATテーブル
26
NATおよびPAT
NATおよびPATは、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換する技術
【PAT】 PATは、ひとつのグローバルIPアドレスを複数のクライアントが同時利用可能
192.168.11.6 192.168.11.7
インターネット
1.1.1.1
外部ネットワーク内部ネットワーク
SA: 192.168.11.6
DA: 1.1.1.1
SA: 2.2.2.2
DA: 1.1.1.1
内部ローカルアドレス
SA : 192.168.11.6:1025
※ポート番号を利用する
NATテーブル
内部グローバルアドレス
SA : 2.2.2.2:1025
※ポート番号を利用する
外部グローバルアドレス
SA : 1.1.1.1:80
27
IPアドレスの基本的な構成
IPアドレスの基本的な構成は、32ビットの2階層アドレスで、ネットワーク部とホスト部に分
かれる。
32ビット
 ネットワーク部
• ホストが所属するネットワークを示す。
• 同一ネットワークに所属するすべてのホストはネットワーク部が同じになる。
 ホスト部
• ネットワークに所属する個々のホストを識別する。
ネットワーク部 ホスト部
28
IPアドレスの基本的な構成
32ビット
たとえば、下記の場合
IPv4 アドレス・・・・・・・・ : 192.168.11.6
サブネットマスク・・・・・・ : 255.255.255.0
ネットワーク部 ホスト部
192 . 168 . 11 . 6
ネットワーク部 ホスト部
IPアドレスの基本的な構成は、32ビットの2階層アドレスで、ネットワーク部とホスト部に分
かれる。
29
IPアドレスの基本的な分類
IPアドレスの基本的な分類
クラス アドレス範囲 ネットワーク部 用途
クラスA 0.0.0.0~127.255.255.255 /8
大規模ネットワーク
ホスト数: 16777214個
クラスB 128.0.0.0~191.255.255.255 /16
中規模ネットワーク
ホスト数: 65534個
クラスC 192.0.0.0~223.255.255.255 /24
小規模ネットワーク
ホスト数: 254個
クラスD 224.0.0.0~239.255.255.255 マルチキャスト用
クラスE 240.0.0.0~255.255.255.255 実験用
使わない
30
ナチュラルマスク
サブネットマスクとは、IPアドレスのネットワーク部とホスト部の境界を識別するために使用
する情報。サブネット化されていないネットワークでは、各クラスのサブネットマスクは次の
ようになる。これをナチュラルマスクという。
• クラスA ・・・ 255.0.0.0
• クラスB ・・・ 255.255.0.0
• クラスC ・・・ 255.255.255.0
31
予約済みIPアドレス
予約済みのIPアドレスは、以下のもの。
 ネットワークアドレス
• そのネットワーク自体を表す
• ホスト部のビットがすべて「0」のアドレス
 ダイレクトブロードキャストアドレス
• ネットワーク上のすべてのホスト宛の通信に使用される
• ホスト部のビットがすべて「1」のアドレス
• ルータでは、ダイレクトブロードキャストのルーティングはデフォルトで無効
 ローカルブロードキャストアドレス
• ローカルネットワーク上のすべてのホスト宛の通信に使用される
• IPアドレスの32ビットすべてを「1」にした「255.255.255.255」のアドレス
• ルータを越えて転送されない
 ループバックアドレス
• そのホスト自身を表す
• 第1オクテットの数値が127.0.0.1(10進数)のアドレス
32
サブネットワーク
IPv4のアドレスクラスが定義された当時は、ネットワーク部とホスト部の2階層のアドレスで
十分だと考えられていたが、インターネットに接続するデバイスが増大するにつれて、2階
層では非効率と認識されるようになる。そのため、現在は、3階層のアドレッシングがよく使
用される。
■サブネットワークの利点
・ネットワークのサイズが小さいほど、ネットワークの管理が容易になる。
・ネットワークで扱うトラフィックを分割(局所化)することで、
全体的なトラフィックが削減されパフォーマンスが改善される。
・ネットワークのサイズを小さくし、ネットワークで扱うトラフィックを分離することで、
ネットワークセキュリティの適用が容易になる。
・サブネット化することで、IPアドレスの枯渇問題を回避する。
32ビット
ネットワーク部 サブネット部 ホスト部
【3階層のIPアドレス】
33
サブネット化
サブネット化するには、ネットワーク部とホスト部の境界を右にずらす。
【クラスCネットワークのサブネット化】
ネットワーク部(24ビット)
ネットワーク . . .
ホスト部(8ビット)
ネットワーク ネットワーク
サブネット化
右にずらす(ビットを借用する)
境界を右にずらすビット数 サブネット数 ホスト部のビット数
サブネット当たりの
ホストアドレス数
1 2 7 126
2 4 6 62
3 8 5 30
4 16 4 14
5 32 3 6
6 64 2 2
7 128 1 0
34
サブネットマスク
ホスト部のあるオクテットをサブネット化した場合のサブネットマスク値
128 64 32 16 8 4 2 1
サブネットマスク値
(10進数表記)
1ビットサブネット化 1 0 0 0 0 0 0 0 ⇒ 128
2ビットサブネット化 1 1 0 0 0 0 0 0 ⇒ 192
3ビットサブネット化 1 1 1 0 0 0 0 0 ⇒ 224
4ビットサブネット化 1 1 1 1 0 0 0 0 ⇒ 240
5ビットサブネット化 1 1 1 1 1 0 0 0 ⇒ 248
6ビットサブネット化 1 1 1 1 1 1 0 0 ⇒ 252
7ビットサブネット化 1 1 1 1 1 1 1 0 ⇒ 254
8ビットサブネット化 1 1 1 1 1 1 1 1 ⇒ 255
35
サブネットワークを実機で確認する
実際にサブネットマスクを変更して、ネットワークを分けて、通信状況を確認してみよう。
36
目次
ネットワーク技術の概要
IPアドレスについて
IPアドレスの計算演習
37
参考・参照 資料
• 「徹底攻略Cisco CCNA/CCENT教科書ICND1編」
株式会社インプレスジャパン,2012
• 竹下隆史・村山公保・荒井透・苅田幸雄 共著
「マスタリングTCP/IP 入門編 第4版」オーム社,2007
38
MACアドレスについて
MACアドレスは、LANにおいて通信を識別するために使用するアドレス。NIC上のROMに焼
き付けられており、ハードウェアアドレスや物理アドレスとも呼ばれる。
各ベンダが重複しないように製造するため、MACアドレスはすべて一意になる
MACアドレスの構造: (例) 「00-00-0C-12-34-56」
ベンダーコード ベンダによる割り当て
主なベンダコード ベンダ
00-00-0C シスコ
00-00-0E 富士通
00-00-3D AT&T
00-00-48 エプソン
00-00-4C NEC
00-A0-24 3com
00-AA-00 インテル
08-00-46 ソニー
39
ARP(Address Resolution Protocol)
IPアドレスが決まれば、宛先IPアドレスに向けてIPパケットを送信することができる。しかし、
実際にデータリンク層を利用して通信するときにはIPアドレスに対応したMACアドレスも必
要となる。このとき、ARPが自動的にアドレス解決をしてくれている。
ARPが、送信先のIPアドレスとMACアドレスの紐付けをしている
PC1
PC3 PC4PC2
①ARPブロードキャスト
②ARP応答の返信
③ARPテーブルの学習
windows
> arp -a

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ネットワークの基礎勉強会 20160816