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ソーシャルビジネス創業塾 ピッチ大会スライド
- 5. 「秘宝館」の裏側にある性の価値観 現状 Ö 性に関することはいやしい ものとされ、隠されている。 Ö 女性は性をおおっぴらにす ることで性的視線や暴力を 受ける一方で、男性は友情 として性体験を共有する傾 向にある。 Ö 性については経験が尊重さ れ、主観で語られる。 Ö 性規制がある Ö 男性異性愛者性以外の生 殖につながらない性を貶め る価値観 Ö 性の画一性 Ö 性の科学的思考の欠如 Ö 思考させない社会システム →「絶対的」な性の 価値観の盲信 原因 性は隠すものという価値観が思考停止を招き、偏った常識を定着させている
- 8. 性の権利宣言 Declaration of Sexual Rights 1. 平等と差別されない権利 2. 生命、自由、および身体の安全を守る権利 3. 自律性と身体保全に関する権利 4. 拷問、及び残酷な、非人道的な又は品位を傷 つける取り扱い又は刑罰から自由でいる権利 5. あらゆる暴力や強制・強要から自由でいる権利 6. プライバシーの権利 7. 楽しめて満足できかつ安全な性的経験をする 可能性のある、性の健康を含む、望みうる最高 の性の健康を享受する権利 8. 科学の進歩と応用の恩恵を享受する権利 9. 情報への権利 10. 教育を受ける権利、包括的な性教育を受ける 権利 11. 平等かつ十分かつ自由な同意に基づいた婚姻 関係又は他の類する形態を始め、築き、解消 する権利 12. 子どもを持つか持たないか、子どもの人数や出 産間隔を決定し、それを実現するための情報と 手段を有する権利 13. 思想、意見、表現の自由に関する権利 14. 結社と平和的な集会の自由に関する権利 15. 公的・政治的生活に参画する権利 16. 正義、善後策および救済を求める権利 性の分野の国際研究者組織である世界性の健康学会(WAS)が採択した宣言（2014年改訂版）。 性の健康を網羅的に明文化してあり、かつ性の健康を権利として考えられる
- 10. なぜ私がやるのか 1. セックスミュージアムの存在を知っていた 2. 性を多角的に見ることの重要性に気付いて いた 3. 専門家でない、社会人経験をした私だから こそできることがあると考えた 4. やろうとしている人がいなかった イロタカ プロフィール 一橋大学大学院社会学研究科修士修了。修論テーマは「性的少数者の出会いの変遷」。現在は会社員。職 場で性的少数者アライを公言しており、セックスのことも抵抗なく話すため、性の悩みを度々受ける。 女性差別、性的少数者差別に対して取り組む中で、性を隠す現代の価値観に問題があると気付く。
- 12. Cost Structure ❾コスト構造 人件費（学芸員、専門家、デザイナー） 施設費（展示スペース、収蔵品倉庫）、運搬費 通信費（ウェブサイト、データベース） 広告費 Revenue Streams ❺収益の流れ 来館料、グッズ Key Partners ❽パートナー 【情報提供】 専門家 セクシュアル ヘルス関係 【機会提供】 官公庁 大学 財団法人 【場所提供】 ギャラリー 【広報】 B to C Business 【展示】 運送業者 デザイナー Key Activities ❼主要活動 学問領域にとら われない調査 マーケティング 博物館ブラン ディング Key Metrics ❻リソース スペース 専門家 展示品データ ベース 展示品 Unique Value Proposition ❷価値提案 性について話す きっかけとなる デートスポット Customer Relationship ❹顧客との関係 来館： セルフサービス SNS/口コミ： 共創関係 Channels ❸チャネル SNS/口コミ 立ち飲みバー クラブ 性風俗店 Customer Segments ❶顧客セグメント 性的な関心が高 い20代異性愛 カップル PRODUCT MARKET セックスミュージアムが提供するサービス 企画展「ふたりで考えるオーガズム」 受益者
- 13. Cost Structure ❾コスト構造 人件費（学芸員、専門家、デザイナー） 施設費（展示スペース、収蔵品倉庫）、運搬費 通信費（ウェブサイト、データベース） 広告費 Revenue Streams ❺収益の流れ ①広告料 ②コンサルティング料 （１）スポンサー料 （２）会費 Key Partners ❽パートナー 【情報提供】 専門家 セクシュアルヘルス 関係 【機会提供】 官公庁・自治体 大学 財団法人 【場所提供】 ギャラリー、博物館 【広報】 B to C Business 【展示】 運送業者 デザイナー Key Activities ❼主要活動 学問領域にとらわれ ない調査 顧客マーケティング 博物館ブランディン グ Key Metrics ❻リソース 土地・建物・倉庫 専門家（医療従事者、 研究者、学芸員） 展示品データベース 展示品 Unique Value Proposition ❷価値提案 ①来館者への 宣伝 ②外部発信 （１）社会貢献 （２）博物館創造 Customer Relationship ❹顧客との関係 ①短期契約 ②共創関係 （１）長期契約 （２）会員制、共 創関係 Channels ❸チャネル SNS/口コミ＋ ①イベント ②学会 （１）イベント （２）学会 Customer Segments ❶顧客セグメント ①企画展スポン サー ②展示依頼者： 専門家（医療従 事者、研究者） （１）博物館スポ ンサー （２）会員 PRODUCT MARKET 短期与益者：企画展支援セックスミュージアムが提供するサービス 企画展「ふたりで考えるオーガズム」長期与益者：博物館支援
- 15. 性 で 悩 ん で い た 人 が セ ッ ク ス ミ ュ ー ジ ア ム を 通 じ て 性 の 悩 み が 解 消 さ れ る こ と で 性 の 健 康 を 享 受 で き る
Notas del editor
- セックスミュージアム設立準備委員会発案者のイロタカです。どうぞよろしくお願いします。
- さて、いきなり質問ですが「セックスミュージアム」と聞いて何を想像しましたか？
- 大概「あぁ、秘宝館ね」って言われます。秘宝館は性に関する収集物を展示しているエンターテイメント施設です。珍しい宝で「珍宝館」と呼ばれるものもあります。 一昔前のおじさんが好きそうなえっちなギャグ満載で、会社などの団体旅行が全盛の1980年代頃に最盛期を迎えました。 さて、ソーシャルビジネスのプレゼン会場で今ならセクハラと言われかねない施設をわざわざ紹介したのはわけがあります。
- 性に関するエンターテイメント施設がなぜ、「秘宝館」という名前なのでしょうか？「えっちな館」とか、「セクシー博物館」という名前でもよかったわけです。 それを「秘宝」としたのは、性は隠すものであり、その方がそそられるというような文化的価値観があったからではないでしょうか。
- 実際、性に関することはいやしいものとされ、隠されています。 （隠されている性を女性がをおおっぴらにすると性的視線や暴力を受ける一方で、男性は友情として性体験を共有する傾向にあります。 （また、隠されているために経験談によって知識を得がちです。法律でも性表現規制があり、メディア上でも性の自主規制が行われています。 （このような現状の原因として、男性異性愛者性以外の生殖につながらない性をおとしめる価値観や、万民が性を同一視しているかのような性の画一性、性の科学的思考の欠如、 （規制や性を隠すことを当然とする思考させない社会システムがあると私は考えました。 そして、この性は隠すものという「絶対的」な性の価値観の盲信が、「秘宝館」の名前を秘宝館たらしめ、「セックスミュージアム」から「秘宝館」を想起する原因となっているのではないでしょうか。
- そうした価値癌がある一方で、私たちは常日頃、性とともに生きています。 （ほとんどの人類は性行為によって生まれ、生まれた瞬間性別を決められ、決められた性別としての人生を歩む社会システムに組み込まれていきます。 （身体は歳と共に変化し、新たな役割を得ます。その中で性の楽しみ知ったり、性によって傷つけられたりします。 スライドは2018年に話題に上がった性に関するニュースです。見てみると「あぁ、こんなこともあったなぁ」と思いませんか？ 性とは、人間の人生に関わる事柄であり、社会的事件も多いテーマです。しかし普段生活している中で表立って語られることはありません。なぜならそれは隠すべき事柄であり、いやしいとされるからです。 そしてそれがゆえに、自分自身が性について既存の価値観から外れたときに、悩みを抱えやくなっています。話すことがいやしいとされることをどうやって打ち明け、解決すればよいのでしょうか。
- 性を隠し、性について考えさせない現代日本の性のあり方によって、私たちは性の悩みを抱えやすい現状を招いています。 そこで、私は現代日本の性のあり方によって性に悩む人が性について経験を離れて考えることで「絶対的」な性の価値観から解放され性の健康を享受する世界を実現したいと考えました。
- ここで言う性の健康とは、世界性の健康学会が定めた性の権利によるものを考えています。 （SDGsの目標3:「すべての人に健康と福祉を」でも性の健康の言及がありますが、より詳細で網羅的なこの権利宣言こそ、性に閉鎖的な日本で知ってほしい内容です。） この性の権利に基づく性の健康を提供する方法として私が考えた案は
- 時空・文化や社会・種としてのヒトも超えて性を俯瞰する博物館、セックスミュージアムです。
- なぜ私がやるのか １．まず、１番に私がセックスミュージアムを知っていたからです。女性差別、性的少数者差別に気付き取り組んでいくなかで、発見され続ける性差別に疲弊していたとき、偶然ニューヨークのMuseum of Sexを地球の歩き方で発見しました。 ２．そこで私は、ポルノ女優の歴史や動物の性行為の展示を見ました。そして、性はどの時代にもあり、人間以外にもある事柄だと気付きました。これが２の「性を多角的に見ることの重要性に気付いていた」です。 （日本では性に関する情報発信の多くは医師、セックスワーカーで、その視線は現代日本に向いています。Museum of Sexで歴史的観点、生物学的観点から性を見た私は、これでは断片的な見方しかできないと気付きました。） ３．それでは、医師やセックスワーカー以外の性の専門家はどこにいったのでしょうか。これは、これらの専門家の情報発信がうまくいっていないということによると考えた私は、３番「専門家でない、社会人経験をした私だからこそできることがあると考えました。 （既存の博物館のやり方を踏襲せず、ソーシャルビジネスとして博物館を考えたのもその一つです。） 4．最後に、これが一番の理由ですが、セックスミュージアムがあることを知っている人がそもそも少ない現状で、やろうとしている人もいませんでした。
- では、具体的にはどのような性の悩みがあるのでしょうか。ここで一つ例を出してみようと思います。 私がセックスミュージアムを考えたとき、20代男性複数名から女性のオーガズムについて聞かれました、「どうやったらイかせられるのか」。 彼らはその答えを知るために、インターネットで検索したり、男同士で話したり、私のような性について質問しても問題なさそうな人に質問したりします。 しかし、これらの方法には大きな問題があります。それはセックスは相手あってのものなのに、その相手であるオーガズムを与えたい女性の意志がそこに存在していないということです。 これは聞くことをそもそも考えたことがない、聞こうと思ってもどのように聞けばよいのかわからない、聞いてみたものの聞いても答えてもらえないという原因が考えられます。 そしてこのような状況に陥っている理由として、性について話すことの難しさがあると推測されます。これらのことから女性にオーガズムを与えたい20代男性の本質的にやりたいこと、それは性について女性と話すことだと考えました。
- そこでセックスミュージアムが提供するのが企画展「ふたりで考えるオーガズム」です。 性的な関心が高い20代の異性愛カップルを対象に性について話すきっかけとなるデートスポットを提供します。顧客取得方法は性について解決しようとする人が利用するインターネット、特にSNS/口コミです。 また、性的な関心が高い20代男性が集まりやすい立ち飲みバー、クラブ、性風俗店でのフライヤー配置も想定しています。 顧客との関係は来館まではセルフサービス、その後の口コミ拡散では共創関係です。来館料とグッズ販売によって収益を得ます。博物館なので、主なリソースは展示品関連です。 学問領域にとらわれない調査、専門家が苦手とする顧客マーケティング、そしてデザイン性が高い展示や情報発信をすることで博物館ブランディングをすることがポイントになります。 パートナーは博物館運営に必要な方々と、「性について話す」というところで性暴力に取り組むような団体との連携の可能性も考えています。コストは博物館運営費と広告費関連となります。
- 受益者である来館者だけの売り上げではコストが大きい博物館運営は成り立ちません。 セックスミュージアムでは企画展だけを支援する短期与益者、博物館そのものを支援する長期与益者の２つの与益者を設定しました。 受益者と異なるのは、右側のMARKETである顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客との関係、収益の流れです。
- 【統計学】オーガズムを得る女性は3割だが、満足度はオーガズムの有無によらない 【生物学】オーガズムには性差がある 【歴史学】オーガズムは回避されてきた時代が世界的に長い
- ソーシャルインパクト