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私たちジェイテク
トは、
社会の信頼に応え、
モノづく
りを通じて、
人々の幸福と豊かな社会づく
りに貢献します
F _0 1
*RP-EPSは株式会社ジェ
イテク
トの登録商標です。 *
トルセンは株式会社ジェイテク
トの登録商標です。
*LFTはLow Friction Torqueの略で、
株式会社ジェイテク
トの登録商標です。 *
ギヤスカイ
ビングセンタは株式会社ジェイテク
トの登録商標です。
特集
CSR
レポー
ト
2017
ジェイテク
トの企業理念
ジェイテク
トは、
ナンバーワン、
オンリーワンの技術を生かして、
新たな価値を創造し、
社会のさま
ざまな課題の解決に貢献しています。
この特集では5つの製品の開発ス
トーリーを、
技術の進化に挑んだ従業員の声とともに紹介します。
技術を進化・融合させて、
社会的課題の 解決に貢献
ラックパラレルタイプ
電動パワーステアリング
(RP-EPS)
小型
トラック向け
トルセン
次世代超低
トルク円すいころ軸受 LFT-Ⅳ
モータ用低
トルク長寿命深溝玉軸受
小型ギヤスカイビングセンタ GS200H
F̲02
F̲04
F̲05
F̲06
F̲07
価値創造を
支える技術
材料技術
制御技術
トライボロジー
精密加工技術
コア技術
ジェイテク
トの活動
産業
クルマ
・
二輪車 鉄道
・
航空機 鉄鋼
エネルギー 半導体
・
FPD
医療
農機
・
建機
社会的
課題
現在〜20年先
ジェ
イテク
トグループは国連総会で採択された
「持続可能な開発目標
(SDGs)
」
達成に貢献していきま
す。
新
し
い
課
題
を
発
見
社
会
に
認
め
ら
れ
る
社会に
価値を
提供
温室効果
ガス削減
エネルギー
使用効率の
向上
人々の豊かな
生活環境
いつまでも
働きがいを
持てる
安心
・
安全
・
快適な社会
第4次
産業革命
への貢献
クルマ社会
の変化
エネルギー
・
環境問題
水
・
食料
の不足
少子高齢化
「価値づく
り」
お客様の
期待を超える
自らが考動する
「人づく
り」
「モノづく
り」
世界を感動させる
事 業 領 域
対応する
SDGs目標
軸
受
︵
ベ
ア
リ
ン
グ
︶
駆
動
ス
テ
ア
リ
ン
グ
工
作
機
械
・
メ
カ
ト
ロ
新
規
世界最小クラスのパッケージングを実現。
トヨタ自動車株式会社より技術開発賞を受賞。
E
P
Sのシステム別の特長
中・大型車に最適
小型車に最適
タイヤに近い位置に
モータ
・
E
C
U
を設置
ラックアシス
トタイプ
運転室内に
モータ
・
E
C
U
を設置
コラムアシス
トタイプ
摩擦による
モータ動力損失を軽減
高い操舵性能を実現
防水対策が不要
エンジンルーム内の
スペースを
と
ら
ずに設置可能
力の流れ モータの位置
開発品
ラックパラレルタイプ電動パワーステアリング
(RP-EPS)
F _0 2
ジェイテク
トが世界シェアNo.1を誇る
電動パワーステアリング
(EPS)
は、
ク
ルマの基本機能
「走る」
「曲がる」
「止
まる」
のうち、
「曲がる」
を担い、
安全
性
・
快適性の向上に貢献しています。
現状、
油圧式パワーステアリングを採
用している中
・
大型車においても今後、
EPS化が進むと予測される中、
ジェイ
テク
トは2016年、
新たな中・
大型車向
けEPSを開発し、
量産を始めま
した。
高度運転支援
・
自動運転への
対応を見据えて
EPSには大き
く分けて、
コラムアシス
ト
タイプとラッ
クアシス
トタイプの 2種類
があります。
コラムアシス
トタイプは、
運
転室内にモータとそれを制御するコン
ピュータ
(ECU)
を設置するもので、
小
型車に適したEPSです。
一方、
ラ
ッ
クア
シス
トタイプは、
タイヤに近い位置に
モータ
・ECUを設置するため、
摩擦に
よる動力損失が小さ
く、
より高い操舵
性能が要求される中・大型車に適して
います。
EPSメ
ーカーと
し
てのジェ
イテク
トの特長は、
両タイプの多種多様な製
品群を有すること。
中でも現在は、
コラ
ムアシス
トタイプの製品が、
グローバル
市場において高いシェアを獲得してい
ます。
今後は、
ラック
アシス
トタイプの製
品についても、
ジェ
イテク
ト製品の普及
拡大に努めていく
計画です。
「従 来は油 圧 式パ
ワーステアリングを
採用していた大型
車や高級車におい
ても、
高度運転支援・自動運転への対
応を見据え、
今後、
EPS化が進むと考
えられています。
こう
した市場の声に応
えていくために、
ラッ
クアシス
トタイプの
新たな製品を開発しま
した」
(山元)
CSRレポー
ト2017
特集 | 価値創造を支える技術
ステアリ
ング事業本部
第2ステアリ
ング
システム技術部
第2開発室
山元 達裕
Tatsuhiro Yamamoto
(左から3人目)
これからの
クルマ社会を見据え、
中
・
大型車向けのEPSを
新たに開発
温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・
安全
・
快適な社会
*RP-EPSは株式会社ジェ
イテク
トの登録商標です。
E̲11 関連記事
F _0 3
世界初の技術を取り入れ、
高い快適性
・
静粛性を実現
新たに開発した製品は、
ラッ
クアシス
ト
タイプの中でも、
RP
(ラックパラレル)
-EPSと呼ばれるもの。
ステアリング事
業と軸受
(ベアリ
ング)
事業、
それぞれの
技術者の連携によって専用設計された
軸受を減速機部に用いることで、
世界
最小クラスのパッケージングを実現し、
車両搭載性を向上させています。
また、
ボールねじと呼ばれる機構に独自の工
夫を取り入れることで、
よりスムーズで
快適な操舵と静粛性を実現しています。
「新たなボールねじ構造は、
自動車部品
用としては世界初のもの。
私は設計を
担当しま
したが、
生産技術部門、
製造部
門と緊密に連携
して取り組んだか
ら
こそ、
実現できたと考えています」
(朝倉)
「従来にない構造なので、
量産設備も
従来にないものをつく
る必要があり
ま
し
た。
非常に大変で
したが、
それだけに設
備が完成したときの達成感は大きかっ
たですね」
(水野)
「高精度かつ高能率の量産設備を開
発するのは、
とても難しい課題で
したが、
工作機械・
メ
カ
トロ事業本部やグルー
プ会社の協力も得るこ
とで、
実現でき
ま
した」
(吉田)
国際規格に準拠した、
高度な安全設計
ジェイテク
トは国際的な機能安全規格
ISO26262に準拠した開発プロセスを
2011年に構築し、
2014年に世界で初
めて冗長設計を採用したコラムタイプ
のEPSを開発しま
した。
冗 長 設 計とは同じ役
割を持つものが2系統
あり、
もし運転中に片
方の系統に問題が生
じてもハン
ドル操作へ
のアシス
トを継続できる、
安全設計のこと。
その
実績を生かし、
今回の
RP-EPSにおいても、
ト
ルクセンサーと
モータ駆
動部に冗長設計を採
用しています。
新たな価値を提供できる
技術者の集団でありたい
RP-EPSは、
2016年12月から花園工
場で量産を開始。
2017年3月に発売さ
れたレクサスのLC500h/LC500に搭
載されていま
す。
また、
2017年6月か
らは
米国テネシー州、
2019年からは中国で
も量産を開始し、
中・大型車向けEPS
の需要増加に応えていく体制を、
世界
各地で整えています。
「操舵フィ
ーリ
ングをよ
り向上させるため
に、
さまざまな試行錯誤を重ねま
した。
設計、
生産技術、
製造の各部門が1つ
になり、
全員の力を合わせることで壁を
乗り越えることができたと実感していま
す」
(山田)
「新たなアイデアを入れたい、
より高精
度な量産設備にしたい、
コス
トを抑えた
い、
など、
相反する
さま
ざまな意見が出る
中で、
それら
をまとめる役割を
しっかり担
う
こ
とができたと自負
し
ていま
す」
(鈴木)
「これから
も新たなステアリングシステム
の開発を通じて、
より魅力的なクルマ
づく
りに貢献していきたいですね。
市場
ニーズに応えるだけでな
く、
新たな価値
を提供できる技術者の集団でありたい
と考えています」
(山元)
CSRレポー
ト2017
特集 | 価値創造を支える技術
2017年3月に発売さ
れた
レクサスのLC500h/LC500に搭載。
生産技術本部
生産技術開発部
先行開発室
山田 芳正
(左)
Yoshimasa Yamada
生産技術本部
生産技術開発部
先行開発室
鈴木 隆之
(中)
Takayuki Suzuki
生産技術本部
ステアリ
ング生産技術部
第2生産技術室 第3生産技術グループ
吉田 有児
(右)
Yuji Yoshida
生産技術本部
ステアリング生産技術部
第2生産技術室 第3生産技術グループ
水野 勇児
(左)
Yuji Mizuno
ステアリ
ング事業本部
第2ステアリ
ングシステム技術部
第2開発室 第1設計グループ
朝倉 正芳
(右)
Masayoshi Asakura
現地でのモニター評価。
スタ
ッ
ク
した際の脱出性が大幅に向上。
*車両構造写真は日野自動車ウ
ェ
ブサイ
トよ
り引用。
悪路走破性の向上効果が認め
られ、
日野自動車株式会社よ
り技術開発賞を受賞。
2017年7月か
ら量産開始。
here
小型トラック向け
トルセン
CSRレポー
ト2017
特集 | 価値創造を支える技術
安全性
・
快適性を
高める技術を、
新たな分野に展開
F _0 4
駆動事業本部
第 2駆動技術部
トルクコン
トロールデバイス設計室
山盛 元康
Motoyasu Yamamori
生産技術など、
各部門がワンチームと
なるこ
とで、
製品化を実現できま
した」
2017年に実施した現地におけるモニ
ター評価ではスタッ
クはまったく起こら
ず、
オーナー・
ドライバーから高い評価
を得ま
した。
「これまでに培った技術を
トラックに
展開し、
新たな分野で社会に貢献で
きることがわかり、
とても大きな喜びを
感じています」
スポーツモデルやSUVの車両分野で
培った、
より安全で、
より快適な操安性
を提供する技術を、
悪路を走る小型ト
ラッ
クに生かす開発に取り組みま
した。
ぬかるみでの
スタッ
クを防ぐために
インドネシアのヤシ園。
大量のヤシの
実を積んだ小型
トラ
ッ
クが行き来する道
は未舗装路。
ぬかるんだ深いわだちに
はまってスリ
ップし、
動けなく
なって
しま
う
こと
も少な
く
あり
ません。
その対策と
し
て日野自動車株式会社は、
現地で販
売する
トラッ
クに、
ジェイテク
トの
トルセ
ンを純正部品と
して
メーカーオプショ
ンで
搭 載する計 画を立
案し、
共同開発を進
めま
した。
トルセンは、
片側の
駆動輪がスリ
ップし
た際、
もう片側の駆
動 輪 に力を伝える
LSD
(Limited Slip
Differential)
という
部 品 の 一 種。
耐 久
性・性 能・
メンテナ
ンス性に優れている
ことが特長です。
過酷な使用状況に対応できる
新製品を開発
ジェイテク
トの
トルセンは、
スポーツモ
デルやSUVを中心に、
国内外で数多
くの車種に採用されていま
す。
しか
し、
ト
ラ
ッ
クに搭載されるのは初めて。
積載量
に対する強度、
悪路における走破性、
長距離・長時間走行に対する信頼性
など、
過酷な使用状況のもとで、
トルセ
ンはお客様のニーズに合う性能を発揮
できることが確認されま
した。
「未知の領域に踏み込んでの開発で
し
たが、
JTEKT WAYのもと、
設計、
実験、
温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・
安全
・
快適な社会
*
トルセンは株式会社ジェ
イテク
トの登録商標です。
2.5向上
約
%
30低減
約
%
現行の低トルクNo.1製品
LFT-Ⅲと比較してさらに
低
トルク化
デファレンシャルでの使用により
標準品と比較して
期待される燃費向上効果
LFT-Ⅳは軽自動車からピッ
クアッ
プ
トラッ
クまで、
あらゆる
車種に対応します。
潤滑油の流れを解析し、
保持器の形状を最適化。
潤滑油による撹拌抵抗を大き
く低減しま
した。
LFT-Ⅳ 製品外観。
保持器に設計自由度の高い樹脂を採用。
here
(デファ
レンシャル)
here
(
トランス
ミ
ッ
ショ
ン)
Flow
velocity
Fast
Slow
外輪 ころ
保持器 内輪
外輪
保持器
No.1の低
トルク性能で、
さらなる低燃費化に貢献
軸受事業本部
自動車軸受開発部
パワー
トレーン技術室 ころ軸受グループ
鈴木 章之
Akiyuki Suzuki
次世代超低トルク円すいころ軸受 LFT-Ⅳ
焦点をあてて開発。
CAE
(Computer
Aided Engineering)
を活用し、
保持
器と呼ばれる部品について、
潤滑油流
入を抑制できる形状を追究しま
した。
導
き出した最適な形状を製品に反映させ
るため、
従来、
金属を使用していた保持
器に、
設計自由度の高い樹脂を採用。
こう
して大幅な低
トルク化を実現した
LFT-Ⅳは、
デファ
レンシ
ャルに使用する
ことで燃費を2.5%向上させる効果が
期待できます。
「現在は量産化に向けての課題解決
に取り組んでいます。
これから
も
さ
ら
な
る
低トルク化へのニーズに応え、
技術を
通じて社会に貢献していきたいと考え
ています」
地球温暖化などの環境問題への対策
として、
クルマにはさらなる低燃費化が
求められています。
ジェイテク
トはその
課題解決に貢献するため、
クルマに使
用される円すいころ軸受
(ベアリング)
においてNo.1の低トルク性能を持つ
次世代製品を開発しま
した。
トルク損失低減を
さま
ざまな面から追究
円すいころ軸受はクルマの
トランス
ミ
ッ
シ
ョ
ン、
デファ
レンシ
ャルという駆動系ユ
ニッ
トで多用されており、
エンジンの力を
タイ
ヤへ伝える過程の各種回転軸を支
える役割を担っています。
そのため、
摩
擦などによる
トルク損失をいかに減ら
す
かが、
低燃費化に貢献するための重要
なポイ
ン
ト。
ジェ
イテク
トでは長期にわた
り、
さま
ざまな面から円すいころ軸受の
ト
ルク損失低減を目指した研究開発に取
り組み、
LFT
(Low Friction Torque)
シリーズとして製 品 化してきました。
2006年に開発したLFT-Ⅲは、
ジェイ
テク
トの同サイズの標準品と比較して
トルク損失約50%低減を達
成。
国内外の自動車メ
ーカー
に採用され、
低燃費化に大
きく貢献しています。
そして
2017年、
そのLFT-Ⅲと比較
してさ
らに約30%の
トルク損
失低減を実現するLFT-Ⅳ
の開発に成功しま
した。
潤滑油による撹拌抵抗を
いかに減らすか
円すいころ軸受は、
潤滑油で
満たされたユニッ
トの中で使
用されます。
LFT-Ⅳは、
軸受
内部に潤滑油が必要以上
に流入することで生じる撹
拌抵抗をいかに減らすかに
CSRレポー
ト2017
特集 | 価値創造を支える技術
F _0 5
温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・
安全
・
快適な社会
*LFTはLow Friction Torqueの略で、
株式会社ジェ
イテク
トの登録商標です。
E̲11 関連記事
産業用モータ
メ
ーカーによるテス
トの結果、
この軸受を使
用するだけでエネルギー効率が1〜3%向上したという評
価を得ています。
大幅な低
トルク化
・
静音化の効果が認め
られ、
2016年度 一般社団法人日本
トライボロジー学会技術賞を受賞。
向上
従来品より
静音性 %
2倍
従来品の 約
軸受寿命
50低減
従来品より 約
トルク損失 %
33
約
国内消費電力量の
大きな割合を占める
モータを高効率化
研究開発本部
材料研究部
有機材料研究室 第2
グループ
津田 武志
Takeshi Tsuda
軸受事業本部
産業機器技術部
産建機軸受技術室
農機
・
電機グループ
西川 卓寛
Takahiro Nishikawa
研究開発本部
材料研究部
有機材料研究室
第2
グループ
三宅 一徳
Kazunori Miyake
CSRレポー
ト2017
特集 | 価値創造を支える技術
F _0 6
モータ用低トルク長寿命深溝玉軸受
ク
トに蓄積された技術を生かして取り組
み、
新たな価値を社会に届けたいと考
えています」
(西川)
日本では産業用モータによる消費電力
量が、
産業部門全体の約75%を占め
ると推計されています。
モータ
メーカー
各社がより高効率な製品の開発を目
指す中、
ジェイテク
トは従来品と比較し
て大幅な低
トルク化と長寿命化を両立
させたモータ用軸受を開発しま
した。
背反する課題を解決する、
画期的なグリースを開発
モータのエネルギー効率を向上させるた
めに、
軸受には摩擦などによる
トルク損
失の低減化が求め
られています。
また同
時に、
メ
ンテナンスを不要にするための
長寿命化も重要なテーマとなっていま
す。
しか
し低
トルク化と長寿命化は求め
られる性質が背反し、
両立は非常に困
難な課題で
した。
ジェ
イテク
トではこの課題解決を目指し、
新たな設計を模索するなど
トライ&エ
ラーを重ねま
した。
その結果、
金属同士
の摩擦を減ら
し、
摩耗を防ぐために軸
受内に封入されているグリー
スの撹拌抵抗が、
トルク損失
の発生要因と
して高い割合
を占めていることを解明。
グ
リ
ースについて分子構造まで
さかのぼって解析するという
従来にないアプローチで研
究開発に取り組みま
した。
そ
して、
トルク損失を従来比約
50%低減するとと
もに、
軸受
寿命を従来比約2倍に伸ばす、
画期
的なグ
リースの開発に成功したのです。
従来にない発想と
取り組みから生まれた、
性能アッ
プ
「誰も思いつかないような発想でアプ
ローチし、
取り組んでみる。
だからこそ、
大きな成果への活路が生まれる。
今回、
そのこと
を改めて実感
しま
した」
(津田)
「基盤研究を製品の大幅な性能アッ
プ
につなげられたのは、
私にとって大きな
経験でした。
これから
も社会に貢献でき
るモノづく
り
を追究
していき
たい」
(三宅)
新グリースを使用したモータ用軸受は、
今後も産業機械をはじめ、
家電製品、
電気自動車など、
幅広い分野への提案
活動を進めていく方針です。
「次の開発においても、
市場の真の声
に耳を傾けることを大切にし、
ジェイテ
温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・
安全
・
快適な社会
E̲11 関連記事
GS200H
スカイビング工法の仕組み
加工対象物
加工対象物
切削速度V2
実切削速度V3
工具切削速度V1
送り方向
交差角φ
工具
小型ギヤスカイビングセンタ GS200H
CSRレポー
ト2017
特集 | 価値創造を支える技術
世界初の製品でギヤ生産を革新。
モノづく
りの進化に広く貢献
工作機械
・
メ
カ
トロ事業本部
工作機械技術部
加工
・
工法技術室
切削グループ
夏田 一樹
Kazuki Natsuda
工作機械
・
メ
カ
トロ事業本部
工作機械技術部
加工
・
工法技術室
切削グループ
張 琳
Lin Zhang
工作機械
・
メ
カ
トロ事業本部
工作機械開発部
標準機開発室
切削グループ
大塚 義夫
Yoshio Ootsuka
F _0 7
あらゆる分野の機械において、
要素部
品と
して使用されているギヤ。
その生産
にはさまざまな加工工程があり、
各種
の専用設備を並べたラインを組む必要
があります。
ジェイテク
トは一連の加工
工程を1台に集約し、
より高精度なギ
ヤを、
より効率的に生産でき
るギヤスカ
イビングセンタを開発。
あらゆる分野の
機械の小型
・
軽量化や生産性向上に
貢献しています。
事業の枠を越えた連携が生んだ、
世界初の製品
ギヤ加工には
さ
ま
ざまな工法があり
ます。
その最新技術であるスカイ
ビング工法
は、
加工対象物に対して工
具を傾け、
高速で同期回転
させながら歯車を創成するも
の。
従来の工法と比較して、
加工時間を短縮できる、
ギヤ
を小型・軽量化できる、
など
のメ
リ
ッ
トがあります。
原理は
1960年代に欧州で提唱さ
れていま
したが、
当時の技術
レベルでは課題が多く、
実用
化には至り
ませんでした。
ジェイテク
トがスカイ
ビング工法による
生産設備の開発に着手したのは2005
年。
さま
ざまなギヤで構成される自動車
用製品
トルセンの商品性と生産効率
の向上を目指し、
トルセンを製造するベ
ルギーのグループ会社と、
日本の工作
機械・
メカ
トロ事業本部が、
事業の枠
を越え、
お互いの知見を持ち寄って取り
組みま
した。
2006年からは実際にスカ
イ
ビング工法によってギヤを量産しなが
ら、
工具や制御の技術を蓄積。
その成
果を生かして2013年に製品化された
のが、
世界で初めてスカイ
ビング工法を
マシニングセンタに採用した、
ギヤスカ
イ
ビングセンタGS300Hです。
5台の専用設備が必要な工程を
1台に集約
GS300Hは、
従来5台の専用設備を必
要と
したギヤ加工の工程を1台に集約
し、
製造現場の省スペース化・省電力
化に貢献。
加工対象物を一度取りつけ
るだけで複数の工程を進められるため、
着脱時に生じる誤差も大幅に低減でき、
加工精度の向上につなげています。
温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・
安全
・
快適な社会
*ギヤスカイ
ビングセンタは株式会社ジェ
イテク
トの登録商標です。
新
技
術
従来の設備では、
2つの材料を加工後、
溶接
して製造する必要のあった部品
(左)
が、
GS
シ
リ
ーズでは、
1つの材料を加工
して製造可能
(右)
。
溶接の必要がないため、
強度も向上。
GS200Hの設置スペース
製品革新の例
(トルセン部品)
ギヤ加工の流れ
旋盤
加工設備
2分の1以下の
スペースで設置可能
加工工程
ホブ盤 ギヤシェーパ
加工設備 ギヤスカイ
ビングセンタ
面取り盤 マシニングセンタ
旋 削
加工工程 旋 削 + スカイビング
(歯切り)+ 面取り + 穴あけ
ホビィ
ング シェーパ 面 取り 穴あけ
従
来
16.2
20
15
10
5
0
(m2
)
GS300H GS200H
7.2
CSRレポー
ト2017
特集 | 価値創造を支える技術
F _0 8
その実績をもとに、
2015年にはGSシ
リーズ第2弾と
して、
産業ロボッ
トや建
設機械、
トラッ
クなどに使われる大型ギ
ヤの加工に最適なGS700Hを発売。
さ
らに広い産業分野で、
より速く、
より高
精度に、
というギヤ加工へのニーズに
応えています。
画期的な小型化、
大幅な高精度化を実現
そして2017 年 5月、
GSシリーズ 第 3
弾と
して、
クルマなどに使用される小型
ギヤの加 工に最 適なGS200Hを発
売。
工程集約機能、
独自の工具・制御
技術など、
これまでに培った技術・
ノウ
ハウを継承するとと
もに、
設置スペース
がGS300Hの2分の1以下という画期
的な小型化を実現しています。
さらに、
機械剛性をGS300Hの2倍以上に高
める
と
と
もに、
熱による
設備の変形を抑える
設計によ
り、
加工精度
を向 上。
また、
IoE
(※)
の一環として、
データ
蓄積・解析モジュール
TOYOPUC -AAAを
標準搭載。
加工時の振動データを収
集・解析するこ
とで故障や工具交換の
兆候をつかみ、
品質向上や保全の効
率化につなげるこ
と
を目的と
しています。
自社内に
工作機械ユーザーを擁する強み
GS200Hを使用することで、
自動車部
品の小型・軽量化や一体化が可能と
なるため、
クルマの低燃費化への貢献
が期待できます。
また、
クルマに数多く
使用されているギヤの精度が向上する
ことで異音も減少するため、
静粛性の
向上にも寄与します。
ジェイテク
トの工作機械・
メカ
トロ事業
の強みは、
自社内にステアリング事業、
駆動事業、
軸受
(ベアリング)
事業があ
ること。
自社内に自動車部品の製造現
場があるため、
ユーザーの声を機種開
発に取り入れやすい環境にあります。
ま
た、
工作機械の性能を高めるために必
要な軸受も、
自社内で開発・量産でき
ます。
GSシリーズは、
こ
う
した環境を存
分に生かすこと
で誕生
しま
した。
「私たちはお客様のつく
りたい部品に
最適な工具の設計、
加工条件の設定
も行っています。
こう
して工作機械の能
力を最大限に引き出すこと
も、
お客様
の想いに応える上で重要だと考えてい
ます」
(夏田)
「お客様の声をきめ細かに伺って機種
開発に取り組む風土は、
ジェイテク
トの
強みの1つだと確信しています。
これか
らもお客様と一体となって工作機械を
進化させていきたいですね」
(大塚)
「既存技術の進化だけでな
く、
まだ世の
中にない技術の開発も大切だと考えて
います。
モノづく
りの発展に貢献してい
く
ことが将来の目標です」
(張)
※ IoE 近年、
注目を集めているIoT
(Internet
of Things)
に対し、
ジェ
イテク
トは、
モノ
だけでな
く、
人やサービスも含めてつなげるIoE
(Internet
of Everything)
を提案しています。
*TOYOPUCは株式会社ジェ
イテク
トの登録商標です。 *
トルセンは株式会社ジェ
イテク
トの登録商標です。

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  • 1. 私たちジェイテク トは、 社会の信頼に応え、 モノづく りを通じて、 人々の幸福と豊かな社会づく りに貢献します F _0 1 *RP-EPSは株式会社ジェ イテク トの登録商標です。 * トルセンは株式会社ジェイテク トの登録商標です。 *LFTはLow Friction Torqueの略で、 株式会社ジェイテク トの登録商標です。 * ギヤスカイ ビングセンタは株式会社ジェイテク トの登録商標です。 特集 CSR レポー ト 2017 ジェイテク トの企業理念 ジェイテク トは、 ナンバーワン、 オンリーワンの技術を生かして、 新たな価値を創造し、 社会のさま ざまな課題の解決に貢献しています。 この特集では5つの製品の開発ス トーリーを、 技術の進化に挑んだ従業員の声とともに紹介します。 技術を進化・融合させて、 社会的課題の 解決に貢献 ラックパラレルタイプ 電動パワーステアリング (RP-EPS) 小型 トラック向け トルセン 次世代超低 トルク円すいころ軸受 LFT-Ⅳ モータ用低 トルク長寿命深溝玉軸受 小型ギヤスカイビングセンタ GS200H F̲02 F̲04 F̲05 F̲06 F̲07 価値創造を 支える技術 材料技術 制御技術 トライボロジー 精密加工技術 コア技術 ジェイテク トの活動 産業 クルマ ・ 二輪車 鉄道 ・ 航空機 鉄鋼 エネルギー 半導体 ・ FPD 医療 農機 ・ 建機 社会的 課題 現在〜20年先 ジェ イテク トグループは国連総会で採択された 「持続可能な開発目標 (SDGs) 」 達成に貢献していきま す。 新 し い 課 題 を 発 見 社 会 に 認 め ら れ る 社会に 価値を 提供 温室効果 ガス削減 エネルギー 使用効率の 向上 人々の豊かな 生活環境 いつまでも 働きがいを 持てる 安心 ・ 安全 ・ 快適な社会 第4次 産業革命 への貢献 クルマ社会 の変化 エネルギー ・ 環境問題 水 ・ 食料 の不足 少子高齢化 「価値づく り」 お客様の 期待を超える 自らが考動する 「人づく り」 「モノづく り」 世界を感動させる 事 業 領 域 対応する SDGs目標 軸 受 ︵ ベ ア リ ン グ ︶ 駆 動 ス テ ア リ ン グ 工 作 機 械 ・ メ カ ト ロ 新 規
  • 2. 世界最小クラスのパッケージングを実現。 トヨタ自動車株式会社より技術開発賞を受賞。 E P Sのシステム別の特長 中・大型車に最適 小型車に最適 タイヤに近い位置に モータ ・ E C U を設置 ラックアシス トタイプ 運転室内に モータ ・ E C U を設置 コラムアシス トタイプ 摩擦による モータ動力損失を軽減 高い操舵性能を実現 防水対策が不要 エンジンルーム内の スペースを と ら ずに設置可能 力の流れ モータの位置 開発品 ラックパラレルタイプ電動パワーステアリング (RP-EPS) F _0 2 ジェイテク トが世界シェアNo.1を誇る 電動パワーステアリング (EPS) は、 ク ルマの基本機能 「走る」 「曲がる」 「止 まる」 のうち、 「曲がる」 を担い、 安全 性 ・ 快適性の向上に貢献しています。 現状、 油圧式パワーステアリングを採 用している中 ・ 大型車においても今後、 EPS化が進むと予測される中、 ジェイ テク トは2016年、 新たな中・ 大型車向 けEPSを開発し、 量産を始めま した。 高度運転支援 ・ 自動運転への 対応を見据えて EPSには大き く分けて、 コラムアシス ト タイプとラッ クアシス トタイプの 2種類 があります。 コラムアシス トタイプは、 運 転室内にモータとそれを制御するコン ピュータ (ECU) を設置するもので、 小 型車に適したEPSです。 一方、 ラ ッ クア シス トタイプは、 タイヤに近い位置に モータ ・ECUを設置するため、 摩擦に よる動力損失が小さ く、 より高い操舵 性能が要求される中・大型車に適して います。 EPSメ ーカーと し てのジェ イテク トの特長は、 両タイプの多種多様な製 品群を有すること。 中でも現在は、 コラ ムアシス トタイプの製品が、 グローバル 市場において高いシェアを獲得してい ます。 今後は、 ラック アシス トタイプの製 品についても、 ジェ イテク ト製品の普及 拡大に努めていく 計画です。 「従 来は油 圧 式パ ワーステアリングを 採用していた大型 車や高級車におい ても、 高度運転支援・自動運転への対 応を見据え、 今後、 EPS化が進むと考 えられています。 こう した市場の声に応 えていくために、 ラッ クアシス トタイプの 新たな製品を開発しま した」 (山元) CSRレポー ト2017 特集 | 価値創造を支える技術 ステアリ ング事業本部 第2ステアリ ング システム技術部 第2開発室 山元 達裕 Tatsuhiro Yamamoto (左から3人目) これからの クルマ社会を見据え、 中 ・ 大型車向けのEPSを 新たに開発 温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・ 安全 ・ 快適な社会 *RP-EPSは株式会社ジェ イテク トの登録商標です。 E̲11 関連記事
  • 3. F _0 3 世界初の技術を取り入れ、 高い快適性 ・ 静粛性を実現 新たに開発した製品は、 ラッ クアシス ト タイプの中でも、 RP (ラックパラレル) -EPSと呼ばれるもの。 ステアリング事 業と軸受 (ベアリ ング) 事業、 それぞれの 技術者の連携によって専用設計された 軸受を減速機部に用いることで、 世界 最小クラスのパッケージングを実現し、 車両搭載性を向上させています。 また、 ボールねじと呼ばれる機構に独自の工 夫を取り入れることで、 よりスムーズで 快適な操舵と静粛性を実現しています。 「新たなボールねじ構造は、 自動車部品 用としては世界初のもの。 私は設計を 担当しま したが、 生産技術部門、 製造部 門と緊密に連携 して取り組んだか ら こそ、 実現できたと考えています」 (朝倉) 「従来にない構造なので、 量産設備も 従来にないものをつく る必要があり ま し た。 非常に大変で したが、 それだけに設 備が完成したときの達成感は大きかっ たですね」 (水野) 「高精度かつ高能率の量産設備を開 発するのは、 とても難しい課題で したが、 工作機械・ メ カ トロ事業本部やグルー プ会社の協力も得るこ とで、 実現でき ま した」 (吉田) 国際規格に準拠した、 高度な安全設計 ジェイテク トは国際的な機能安全規格 ISO26262に準拠した開発プロセスを 2011年に構築し、 2014年に世界で初 めて冗長設計を採用したコラムタイプ のEPSを開発しま した。 冗 長 設 計とは同じ役 割を持つものが2系統 あり、 もし運転中に片 方の系統に問題が生 じてもハン ドル操作へ のアシス トを継続できる、 安全設計のこと。 その 実績を生かし、 今回の RP-EPSにおいても、 ト ルクセンサーと モータ駆 動部に冗長設計を採 用しています。 新たな価値を提供できる 技術者の集団でありたい RP-EPSは、 2016年12月から花園工 場で量産を開始。 2017年3月に発売さ れたレクサスのLC500h/LC500に搭 載されていま す。 また、 2017年6月か らは 米国テネシー州、 2019年からは中国で も量産を開始し、 中・大型車向けEPS の需要増加に応えていく体制を、 世界 各地で整えています。 「操舵フィ ーリ ングをよ り向上させるため に、 さまざまな試行錯誤を重ねま した。 設計、 生産技術、 製造の各部門が1つ になり、 全員の力を合わせることで壁を 乗り越えることができたと実感していま す」 (山田) 「新たなアイデアを入れたい、 より高精 度な量産設備にしたい、 コス トを抑えた い、 など、 相反する さま ざまな意見が出る 中で、 それら をまとめる役割を しっかり担 う こ とができたと自負 し ていま す」 (鈴木) 「これから も新たなステアリングシステム の開発を通じて、 より魅力的なクルマ づく りに貢献していきたいですね。 市場 ニーズに応えるだけでな く、 新たな価値 を提供できる技術者の集団でありたい と考えています」 (山元) CSRレポー ト2017 特集 | 価値創造を支える技術 2017年3月に発売さ れた レクサスのLC500h/LC500に搭載。 生産技術本部 生産技術開発部 先行開発室 山田 芳正 (左) Yoshimasa Yamada 生産技術本部 生産技術開発部 先行開発室 鈴木 隆之 (中) Takayuki Suzuki 生産技術本部 ステアリ ング生産技術部 第2生産技術室 第3生産技術グループ 吉田 有児 (右) Yuji Yoshida 生産技術本部 ステアリング生産技術部 第2生産技術室 第3生産技術グループ 水野 勇児 (左) Yuji Mizuno ステアリ ング事業本部 第2ステアリ ングシステム技術部 第2開発室 第1設計グループ 朝倉 正芳 (右) Masayoshi Asakura
  • 4. 現地でのモニター評価。 スタ ッ ク した際の脱出性が大幅に向上。 *車両構造写真は日野自動車ウ ェ ブサイ トよ り引用。 悪路走破性の向上効果が認め られ、 日野自動車株式会社よ り技術開発賞を受賞。 2017年7月か ら量産開始。 here 小型トラック向け トルセン CSRレポー ト2017 特集 | 価値創造を支える技術 安全性 ・ 快適性を 高める技術を、 新たな分野に展開 F _0 4 駆動事業本部 第 2駆動技術部 トルクコン トロールデバイス設計室 山盛 元康 Motoyasu Yamamori 生産技術など、 各部門がワンチームと なるこ とで、 製品化を実現できま した」 2017年に実施した現地におけるモニ ター評価ではスタッ クはまったく起こら ず、 オーナー・ ドライバーから高い評価 を得ま した。 「これまでに培った技術を トラックに 展開し、 新たな分野で社会に貢献で きることがわかり、 とても大きな喜びを 感じています」 スポーツモデルやSUVの車両分野で 培った、 より安全で、 より快適な操安性 を提供する技術を、 悪路を走る小型ト ラッ クに生かす開発に取り組みま した。 ぬかるみでの スタッ クを防ぐために インドネシアのヤシ園。 大量のヤシの 実を積んだ小型 トラ ッ クが行き来する道 は未舗装路。 ぬかるんだ深いわだちに はまってスリ ップし、 動けなく なって しま う こと も少な く あり ません。 その対策と し て日野自動車株式会社は、 現地で販 売する トラッ クに、 ジェイテク トの トルセ ンを純正部品と して メーカーオプショ ンで 搭 載する計 画を立 案し、 共同開発を進 めま した。 トルセンは、 片側の 駆動輪がスリ ップし た際、 もう片側の駆 動 輪 に力を伝える LSD (Limited Slip Differential) という 部 品 の 一 種。 耐 久 性・性 能・ メンテナ ンス性に優れている ことが特長です。 過酷な使用状況に対応できる 新製品を開発 ジェイテク トの トルセンは、 スポーツモ デルやSUVを中心に、 国内外で数多 くの車種に採用されていま す。 しか し、 ト ラ ッ クに搭載されるのは初めて。 積載量 に対する強度、 悪路における走破性、 長距離・長時間走行に対する信頼性 など、 過酷な使用状況のもとで、 トルセ ンはお客様のニーズに合う性能を発揮 できることが確認されま した。 「未知の領域に踏み込んでの開発で し たが、 JTEKT WAYのもと、 設計、 実験、 温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・ 安全 ・ 快適な社会 * トルセンは株式会社ジェ イテク トの登録商標です。
  • 5. 2.5向上 約 % 30低減 約 % 現行の低トルクNo.1製品 LFT-Ⅲと比較してさらに 低 トルク化 デファレンシャルでの使用により 標準品と比較して 期待される燃費向上効果 LFT-Ⅳは軽自動車からピッ クアッ プ トラッ クまで、 あらゆる 車種に対応します。 潤滑油の流れを解析し、 保持器の形状を最適化。 潤滑油による撹拌抵抗を大き く低減しま した。 LFT-Ⅳ 製品外観。 保持器に設計自由度の高い樹脂を採用。 here (デファ レンシャル) here ( トランス ミ ッ ショ ン) Flow velocity Fast Slow 外輪 ころ 保持器 内輪 外輪 保持器 No.1の低 トルク性能で、 さらなる低燃費化に貢献 軸受事業本部 自動車軸受開発部 パワー トレーン技術室 ころ軸受グループ 鈴木 章之 Akiyuki Suzuki 次世代超低トルク円すいころ軸受 LFT-Ⅳ 焦点をあてて開発。 CAE (Computer Aided Engineering) を活用し、 保持 器と呼ばれる部品について、 潤滑油流 入を抑制できる形状を追究しま した。 導 き出した最適な形状を製品に反映させ るため、 従来、 金属を使用していた保持 器に、 設計自由度の高い樹脂を採用。 こう して大幅な低 トルク化を実現した LFT-Ⅳは、 デファ レンシ ャルに使用する ことで燃費を2.5%向上させる効果が 期待できます。 「現在は量産化に向けての課題解決 に取り組んでいます。 これから も さ ら な る 低トルク化へのニーズに応え、 技術を 通じて社会に貢献していきたいと考え ています」 地球温暖化などの環境問題への対策 として、 クルマにはさらなる低燃費化が 求められています。 ジェイテク トはその 課題解決に貢献するため、 クルマに使 用される円すいころ軸受 (ベアリング) においてNo.1の低トルク性能を持つ 次世代製品を開発しま した。 トルク損失低減を さま ざまな面から追究 円すいころ軸受はクルマの トランス ミ ッ シ ョ ン、 デファ レンシ ャルという駆動系ユ ニッ トで多用されており、 エンジンの力を タイ ヤへ伝える過程の各種回転軸を支 える役割を担っています。 そのため、 摩 擦などによる トルク損失をいかに減ら す かが、 低燃費化に貢献するための重要 なポイ ン ト。 ジェ イテク トでは長期にわた り、 さま ざまな面から円すいころ軸受の ト ルク損失低減を目指した研究開発に取 り組み、 LFT (Low Friction Torque) シリーズとして製 品 化してきました。 2006年に開発したLFT-Ⅲは、 ジェイ テク トの同サイズの標準品と比較して トルク損失約50%低減を達 成。 国内外の自動車メ ーカー に採用され、 低燃費化に大 きく貢献しています。 そして 2017年、 そのLFT-Ⅲと比較 してさ らに約30%の トルク損 失低減を実現するLFT-Ⅳ の開発に成功しま した。 潤滑油による撹拌抵抗を いかに減らすか 円すいころ軸受は、 潤滑油で 満たされたユニッ トの中で使 用されます。 LFT-Ⅳは、 軸受 内部に潤滑油が必要以上 に流入することで生じる撹 拌抵抗をいかに減らすかに CSRレポー ト2017 特集 | 価値創造を支える技術 F _0 5 温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・ 安全 ・ 快適な社会 *LFTはLow Friction Torqueの略で、 株式会社ジェ イテク トの登録商標です。 E̲11 関連記事
  • 6. 産業用モータ メ ーカーによるテス トの結果、 この軸受を使 用するだけでエネルギー効率が1〜3%向上したという評 価を得ています。 大幅な低 トルク化 ・ 静音化の効果が認め られ、 2016年度 一般社団法人日本 トライボロジー学会技術賞を受賞。 向上 従来品より 静音性 % 2倍 従来品の 約 軸受寿命 50低減 従来品より 約 トルク損失 % 33 約 国内消費電力量の 大きな割合を占める モータを高効率化 研究開発本部 材料研究部 有機材料研究室 第2 グループ 津田 武志 Takeshi Tsuda 軸受事業本部 産業機器技術部 産建機軸受技術室 農機 ・ 電機グループ 西川 卓寛 Takahiro Nishikawa 研究開発本部 材料研究部 有機材料研究室 第2 グループ 三宅 一徳 Kazunori Miyake CSRレポー ト2017 特集 | 価値創造を支える技術 F _0 6 モータ用低トルク長寿命深溝玉軸受 ク トに蓄積された技術を生かして取り組 み、 新たな価値を社会に届けたいと考 えています」 (西川) 日本では産業用モータによる消費電力 量が、 産業部門全体の約75%を占め ると推計されています。 モータ メーカー 各社がより高効率な製品の開発を目 指す中、 ジェイテク トは従来品と比較し て大幅な低 トルク化と長寿命化を両立 させたモータ用軸受を開発しま した。 背反する課題を解決する、 画期的なグリースを開発 モータのエネルギー効率を向上させるた めに、 軸受には摩擦などによる トルク損 失の低減化が求め られています。 また同 時に、 メ ンテナンスを不要にするための 長寿命化も重要なテーマとなっていま す。 しか し低 トルク化と長寿命化は求め られる性質が背反し、 両立は非常に困 難な課題で した。 ジェ イテク トではこの課題解決を目指し、 新たな設計を模索するなど トライ&エ ラーを重ねま した。 その結果、 金属同士 の摩擦を減ら し、 摩耗を防ぐために軸 受内に封入されているグリー スの撹拌抵抗が、 トルク損失 の発生要因と して高い割合 を占めていることを解明。 グ リ ースについて分子構造まで さかのぼって解析するという 従来にないアプローチで研 究開発に取り組みま した。 そ して、 トルク損失を従来比約 50%低減するとと もに、 軸受 寿命を従来比約2倍に伸ばす、 画期 的なグ リースの開発に成功したのです。 従来にない発想と 取り組みから生まれた、 性能アッ プ 「誰も思いつかないような発想でアプ ローチし、 取り組んでみる。 だからこそ、 大きな成果への活路が生まれる。 今回、 そのこと を改めて実感 しま した」 (津田) 「基盤研究を製品の大幅な性能アッ プ につなげられたのは、 私にとって大きな 経験でした。 これから も社会に貢献でき るモノづく り を追究 していき たい」 (三宅) 新グリースを使用したモータ用軸受は、 今後も産業機械をはじめ、 家電製品、 電気自動車など、 幅広い分野への提案 活動を進めていく方針です。 「次の開発においても、 市場の真の声 に耳を傾けることを大切にし、 ジェイテ 温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・ 安全 ・ 快適な社会 E̲11 関連記事
  • 7. GS200H スカイビング工法の仕組み 加工対象物 加工対象物 切削速度V2 実切削速度V3 工具切削速度V1 送り方向 交差角φ 工具 小型ギヤスカイビングセンタ GS200H CSRレポー ト2017 特集 | 価値創造を支える技術 世界初の製品でギヤ生産を革新。 モノづく りの進化に広く貢献 工作機械 ・ メ カ トロ事業本部 工作機械技術部 加工 ・ 工法技術室 切削グループ 夏田 一樹 Kazuki Natsuda 工作機械 ・ メ カ トロ事業本部 工作機械技術部 加工 ・ 工法技術室 切削グループ 張 琳 Lin Zhang 工作機械 ・ メ カ トロ事業本部 工作機械開発部 標準機開発室 切削グループ 大塚 義夫 Yoshio Ootsuka F _0 7 あらゆる分野の機械において、 要素部 品と して使用されているギヤ。 その生産 にはさまざまな加工工程があり、 各種 の専用設備を並べたラインを組む必要 があります。 ジェイテク トは一連の加工 工程を1台に集約し、 より高精度なギ ヤを、 より効率的に生産でき るギヤスカ イビングセンタを開発。 あらゆる分野の 機械の小型 ・ 軽量化や生産性向上に 貢献しています。 事業の枠を越えた連携が生んだ、 世界初の製品 ギヤ加工には さ ま ざまな工法があり ます。 その最新技術であるスカイ ビング工法 は、 加工対象物に対して工 具を傾け、 高速で同期回転 させながら歯車を創成するも の。 従来の工法と比較して、 加工時間を短縮できる、 ギヤ を小型・軽量化できる、 など のメ リ ッ トがあります。 原理は 1960年代に欧州で提唱さ れていま したが、 当時の技術 レベルでは課題が多く、 実用 化には至り ませんでした。 ジェイテク トがスカイ ビング工法による 生産設備の開発に着手したのは2005 年。 さま ざまなギヤで構成される自動車 用製品 トルセンの商品性と生産効率 の向上を目指し、 トルセンを製造するベ ルギーのグループ会社と、 日本の工作 機械・ メカ トロ事業本部が、 事業の枠 を越え、 お互いの知見を持ち寄って取り 組みま した。 2006年からは実際にスカ イ ビング工法によってギヤを量産しなが ら、 工具や制御の技術を蓄積。 その成 果を生かして2013年に製品化された のが、 世界で初めてスカイ ビング工法を マシニングセンタに採用した、 ギヤスカ イ ビングセンタGS300Hです。 5台の専用設備が必要な工程を 1台に集約 GS300Hは、 従来5台の専用設備を必 要と したギヤ加工の工程を1台に集約 し、 製造現場の省スペース化・省電力 化に貢献。 加工対象物を一度取りつけ るだけで複数の工程を進められるため、 着脱時に生じる誤差も大幅に低減でき、 加工精度の向上につなげています。 温室効果ガス削減 エネルギー使用効率の向上 人々の豊かな生活環境 安心・ 安全 ・ 快適な社会 *ギヤスカイ ビングセンタは株式会社ジェ イテク トの登録商標です。
  • 8. 新 技 術 従来の設備では、 2つの材料を加工後、 溶接 して製造する必要のあった部品 (左) が、 GS シ リ ーズでは、 1つの材料を加工 して製造可能 (右) 。 溶接の必要がないため、 強度も向上。 GS200Hの設置スペース 製品革新の例 (トルセン部品) ギヤ加工の流れ 旋盤 加工設備 2分の1以下の スペースで設置可能 加工工程 ホブ盤 ギヤシェーパ 加工設備 ギヤスカイ ビングセンタ 面取り盤 マシニングセンタ 旋 削 加工工程 旋 削 + スカイビング (歯切り)+ 面取り + 穴あけ ホビィ ング シェーパ 面 取り 穴あけ 従 来 16.2 20 15 10 5 0 (m2 ) GS300H GS200H 7.2 CSRレポー ト2017 特集 | 価値創造を支える技術 F _0 8 その実績をもとに、 2015年にはGSシ リーズ第2弾と して、 産業ロボッ トや建 設機械、 トラッ クなどに使われる大型ギ ヤの加工に最適なGS700Hを発売。 さ らに広い産業分野で、 より速く、 より高 精度に、 というギヤ加工へのニーズに 応えています。 画期的な小型化、 大幅な高精度化を実現 そして2017 年 5月、 GSシリーズ 第 3 弾と して、 クルマなどに使用される小型 ギヤの加 工に最 適なGS200Hを発 売。 工程集約機能、 独自の工具・制御 技術など、 これまでに培った技術・ ノウ ハウを継承するとと もに、 設置スペース がGS300Hの2分の1以下という画期 的な小型化を実現しています。 さらに、 機械剛性をGS300Hの2倍以上に高 める と と もに、 熱による 設備の変形を抑える 設計によ り、 加工精度 を向 上。 また、 IoE (※) の一環として、 データ 蓄積・解析モジュール TOYOPUC -AAAを 標準搭載。 加工時の振動データを収 集・解析するこ とで故障や工具交換の 兆候をつかみ、 品質向上や保全の効 率化につなげるこ と を目的と しています。 自社内に 工作機械ユーザーを擁する強み GS200Hを使用することで、 自動車部 品の小型・軽量化や一体化が可能と なるため、 クルマの低燃費化への貢献 が期待できます。 また、 クルマに数多く 使用されているギヤの精度が向上する ことで異音も減少するため、 静粛性の 向上にも寄与します。 ジェイテク トの工作機械・ メカ トロ事業 の強みは、 自社内にステアリング事業、 駆動事業、 軸受 (ベアリング) 事業があ ること。 自社内に自動車部品の製造現 場があるため、 ユーザーの声を機種開 発に取り入れやすい環境にあります。 ま た、 工作機械の性能を高めるために必 要な軸受も、 自社内で開発・量産でき ます。 GSシリーズは、 こ う した環境を存 分に生かすこと で誕生 しま した。 「私たちはお客様のつく りたい部品に 最適な工具の設計、 加工条件の設定 も行っています。 こう して工作機械の能 力を最大限に引き出すこと も、 お客様 の想いに応える上で重要だと考えてい ます」 (夏田) 「お客様の声をきめ細かに伺って機種 開発に取り組む風土は、 ジェイテク トの 強みの1つだと確信しています。 これか らもお客様と一体となって工作機械を 進化させていきたいですね」 (大塚) 「既存技術の進化だけでな く、 まだ世の 中にない技術の開発も大切だと考えて います。 モノづく りの発展に貢献してい く ことが将来の目標です」 (張) ※ IoE 近年、 注目を集めているIoT (Internet of Things) に対し、 ジェ イテク トは、 モノ だけでな く、 人やサービスも含めてつなげるIoE (Internet of Everything) を提案しています。 *TOYOPUCは株式会社ジェ イテク トの登録商標です。 * トルセンは株式会社ジェ イテク トの登録商標です。