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小胞体モデル異常タンパク質△pro に対する O 型糖鎖付加の試験管内再構成(卒業研究)
http://www.slideshare.net/teapipin/proo-13958755 の台本




注)★は、クリックポイント!!

小胞体品質管理
小胞体は分泌経路における最初のオルガネラです。分泌タンパク質や中央空胞系オルガネ
ラのタンパク質は、リボソームで合成されたのち、小胞体内に取り込まれます。小胞体に
はタンパク質の品質管理機構が存在し、適切なプロセシングを受けて正しい高次構造を形
成したタンパク質のみが、小胞体からゴルジ体以降へ輸送されます。一方、遺伝的変異、
熱ショック、確率論的なミスフォールディングなどが原因で、正しい高次構造を獲得でき
なかった異常タンパク質については、分子シャペロンがその凝集体形成を阻止し、高次構
造の形成を促進するという、修復が試みられます。しかし、最終的に正しい高次構造を形
成できなかった異常タンパク質は、膜透過チャネルである Sec61p 複合体を通じて、サイト
ゾルへ逆向きに輸送され、プロテアソームによって分解されます。★この分解系は小胞体
関連分解 ERAD と呼ばれています。


O 型糖鎖付加
 最近酵母で、ERAD の基質となる異常タンパク質の一部が、サイトゾルへ逆向き輸送さ
れずに小胞体内にとどまると、O 型糖鎖付加を受けることが見いだされました。O 型糖鎖
付加は、小胞体内で、プロテイン マンノシル トランスフェラーゼ(Pmt)によって、タ
ンパク質のセリン/スレオニン残基に直接マンノース残基が付加される反応です。この修飾
は、親水性残基である糖鎖を付加することによって、本来は、凝集しやすい性質をもつ異
常タンパク質を可溶化して無毒化する、新しい対処方法である可能性が示唆されています。
 ★例えば、デルタ ジー プロ アルファファクターという ERAD の基質となる異常タ
ンパク質を基質として用いた場合、in vivo、および、in vitro のアッセイにおいて、O 型糖
鎖付加を受けることが明らかにされています。
 また、同様の現象が、pro を基質として用いた in vivo のアッセイで観察されます。pro
とは、糸状菌由来の、アスパルティック                   プロテアーゼ       ワンのプロ配列を欠失させた変
異体であり、ERAD の基質となる異常タンパク質です。しかし、pro を用いた in vitro の
in vitro ERAD /O 型糖鎖付加 アッセイ系は確立していません。
 in vitro のアッセイ系のメリットは、様々な物質や因子を添加または除去することで反応
を分割することができるという点にあります。そのため、細胞内で起こる複雑な現象を解
析する手段として、in vitro のアッセイは極めて有効です。現在、ERAD、O 型糖鎖付加に
ついて in vitro でアッセイが行えるのはデルタ ジー プロアルファファクターのみです。
そのため、複数の基質について比較、解析することが重要です。★


                                      1
以上のことを踏まえて、本研究では、pro を基質として、酵母の系を用いた in vitro ア
ッセイ系を構築することを目的としました。


in vitro ERAD /O 型糖鎖付加 assay 系
デルタ    ジー   プロ   アルファーファクターにおいてのみ、確立されている in vitro の
ERAD O 型糖鎖付加 アッセイ系を紹介します。方法は、まず、デルタ ジー プロ ア
ルファーファクターを in vitro で合成し、ミクロソームに取り込ませます。★そしてミクロ
ソームを洗浄後、サイトゾル画分と ATP 再生系を加え、★30℃のインキュベートでチェイ
ス反応を行います。すると、ミクロソームに取り込まれたデルタ           ジー   プロ   アルファ
ーファクターが、サイトゾルへ逆向きに輸送され、プロテアソームによって分解される
ERAD が起こります。★このとき、ERAD と同時に、Pmt によって O 型糖鎖付加も起こり
ます。


プレpro の翻訳反応
酵母から調製したミクロソームに、in vitro でタンパク質を取り込ませることに成功した例
は多くはありません。アルファファクターは、in vitro で翻訳終了後にミクロソームに取り
込まれることが示されています。そのため、本研究ではまず最初に、プレpro を酵母ライ
セート中で翻訳し、アルファファクターと同様に、翻訳終了後にミクロソームへ取り込ま
せることを試みました。
 この図は、in vitro で 35S メチオニン存在下で、酵母ライセートによってプレpro を合
成した結果です。35kDa 付近に期待通りの分子量のタンパク質が合成されました。


プレpro の翻訳終了後の膜透過反応
次に in vitro で合成した、プレpro についてミクロソームへの、膜透過反応を行いました
(レーン 2-5)
        。★その後、トリプシン消化を行い、ミクロソームに取り込まれてプロテア
ーゼ耐性になる分子種の検出を試みました(レーン 6-13)
                            。しかし、このように、プロテア
ーゼ耐性になるバンドは観察されませんでした。このことから、in vitro においてプレpro
は、翻訳が完全に終了した後では、ミクロソームに取り込まれないと判断しました。


プレpro の翻訳と共役した膜透過反応
次に、酵母ライセートによる翻訳系にミクロソームを共存させ、翻訳と膜透過を共役させ
た反応によって、プレpro がミクロソームに取り込まれる可能性について調べました。そ
の結果、このように、プレ配列の切断されたpro が、プロテアーゼ耐性となり、ミクロソ
ームへ取り込まれたことがわかりました。


(野生株由来のミクロソームを用いた)in vitro ERAD /O 型糖鎖付加 assay
次に、pro を取り込んだミクロソームに、サイトゾル画分と ATP 再生系を加え、チェイス


                                 2
反応を行いました。チェイス反応後、トリプシン消化を行い、ミクロソーム中に残存して
いるpro の量を定量しました。その結果、まず、pro がチェイス反応に従って減少してい
く様子が観察されました(レーン 1-4)
                   。また、pro のバンドの上部にこのようなスメアバ
ンドが観察されました(レーン 5-8)。これらを定量したのが下のグラフです。チェイス時
間 0 分のときのpro の存在量を 100%とすると、チェイス反応終了後の 60 分後にはpro
約 35%まで減少したことが分かります。 スメアバンドはチェイス反応終了後に約 65%
                   また、
増加しました。★一方、pro とスメアバンドの合計量は、チェイス反応中にほとんど変化
しませんでした(Fig.5B)
              。この実験から、チェイス反応に従ってpro は減少しましたが、
ERAD による分解は見られず、何らかの修飾を受けていることが予想されました。


(pmt2 株由来のミクロソームを用いた)in vitro ERAD /O 型糖鎖付加 assay
pro は in vivo において、主に小胞体の膜タンパク質 Pmt2p によって、O 型糖鎖付加を受
けます。先ほどのスメアバンドが、pro が O 型糖鎖付加を受けた結果であるかを検討する
ために、Pmt2p を欠失させたpmt2 株由来のミクロソームを用いて同様のチェイス反応を
行いました。★チェイス反応後にトリプシン消化を行った場合、pro のバンドの上部には、
野生株の場合と異なり、スメアバンドは観察されませんでした(レーン 5-8)。このことか
ら、野生株由来のミクロソームを用いたpro の assay では、pro は O 型糖鎖付加を受け
た可能性が示唆されました。


本研究のまとめ
 本研究では、モデル異常タンパク質であるpro を in vitro で合成し、酵母由来のミクロ
ソームに取り込ませ、pro の O 型糖鎖付加の in vitro 再構成を試みました。まず、pro
を翻訳と共役した膜透過反応によってミクロソームに取り込ませることに成功しました。
そこへサイトゾル画分と ATP 再生系を加えると、pro は Pmt2p に依存して O 型糖鎖付加
を受けた可能性が示唆されました。
 pro を用いた今回のアッセイ系では、ミクロソーム内に存在するpro と O 型糖鎖付加
を受けたと考えられるpro の総量は、チェイス反応中にほとんど変化しませんでした。こ
のことから、pro を基質として用いた場合、ERAD の経路による分解は、再構成されてい
ないと考えられました。この結果は、デルタ ジー         プロ アルファファクターの場合も、
in vitro アッセイにおいては ERAD による分解よりも O 型糖鎖付加の方が進行しやすい
ことと一致します。そのため、pro の場合も、その多くが分解経路ではなく O 型糖鎖付加
を受ける経路へ移行したと考えられます。
 今後はこの系を用いて、異常タンパク質のO型糖鎖付加に関与する因子や、経路を、デ
ルタ   ジー   プロアルファファクターの場合と比較検討しながら明らかにしていきたいと
考えています。★




                            3
(もし質問が来たとき)
cytosol 因子の同定、シャペロンの機能
(教科書通りに答える)


デルタ ジー   プロ アルファファクターとは何か?
プロ アルファファクターの 3 つの N 型糖鎖付加部位を置換した変異体で、ERAD の基質
となる異常タンパク質。N 型糖鎖付加は受けないが、O 型糖鎖付加を受ける。


距離の測定
ppro をコードする DNA の終止コドンの直前を制限酵素によって消化した直鎖状 DNA か
ら、転写、翻訳を行い、ppro、tRNA、リボソームの複合体を形成させる。この場合、翻
訳が終了しないために膜透過中間体を形成することが期待される。膜透過反応が途中で停
止したpro が O 型糖鎖付加を受けることができれば、膜透過装置と Pmt2p は近傍に存在
することになる。


ConA による免疫沈降で確認
スメアバンドが O 型糖鎖付加かどうかは、O 型糖鎖を特異的に検出できる抗体で免疫沈降
法 ConA(コンカナバリン A)によって、解析を進める必要がある。


糖鎖付加の可能性は O 型糖鎖付加のみか?
N 型糖鎖付加もあるが、これは Asn-X-Ser/Thr というコンセンサス配列のアスパラギン残
基のアミド基に糖鎖が付加されることが分かっている。しかし、pro はこのコンセンサス
配列を持っていないため、N 型糖鎖付加の可能性はない。N 型糖鎖付加は EndoH(エンド
グリコシダーゼ H)で N 型を切断し、ConA で落とすことで確認できる。


小胞体からゴルジ体への移行への可能性は考慮に入れたか?
サイトゾル画分には、ゴルジ体の因子は除去していない。しかし、機能する状態で残って
いるかどうかは不明。ゴルジ型糖鎖就職を受けているかは、これを認識する抗体で免疫沈
降をすれば分かる。


ERAD の分解効率          in vivo            in vitro
GpF        早い                   見えるくらい
pro         遅め                   ほとんど、今回は見えない
ユビキチンはいらない。
因子の要求性→必要なサイトゾル因子を精製して、加えていく必要がある。




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  • 1. 小胞体モデル異常タンパク質△pro に対する O 型糖鎖付加の試験管内再構成(卒業研究) http://www.slideshare.net/teapipin/proo-13958755 の台本 注)★は、クリックポイント!! 小胞体品質管理 小胞体は分泌経路における最初のオルガネラです。分泌タンパク質や中央空胞系オルガネ ラのタンパク質は、リボソームで合成されたのち、小胞体内に取り込まれます。小胞体に はタンパク質の品質管理機構が存在し、適切なプロセシングを受けて正しい高次構造を形 成したタンパク質のみが、小胞体からゴルジ体以降へ輸送されます。一方、遺伝的変異、 熱ショック、確率論的なミスフォールディングなどが原因で、正しい高次構造を獲得でき なかった異常タンパク質については、分子シャペロンがその凝集体形成を阻止し、高次構 造の形成を促進するという、修復が試みられます。しかし、最終的に正しい高次構造を形 成できなかった異常タンパク質は、膜透過チャネルである Sec61p 複合体を通じて、サイト ゾルへ逆向きに輸送され、プロテアソームによって分解されます。★この分解系は小胞体 関連分解 ERAD と呼ばれています。 O 型糖鎖付加 最近酵母で、ERAD の基質となる異常タンパク質の一部が、サイトゾルへ逆向き輸送さ れずに小胞体内にとどまると、O 型糖鎖付加を受けることが見いだされました。O 型糖鎖 付加は、小胞体内で、プロテイン マンノシル トランスフェラーゼ(Pmt)によって、タ ンパク質のセリン/スレオニン残基に直接マンノース残基が付加される反応です。この修飾 は、親水性残基である糖鎖を付加することによって、本来は、凝集しやすい性質をもつ異 常タンパク質を可溶化して無毒化する、新しい対処方法である可能性が示唆されています。 ★例えば、デルタ ジー プロ アルファファクターという ERAD の基質となる異常タ ンパク質を基質として用いた場合、in vivo、および、in vitro のアッセイにおいて、O 型糖 鎖付加を受けることが明らかにされています。 また、同様の現象が、pro を基質として用いた in vivo のアッセイで観察されます。pro とは、糸状菌由来の、アスパルティック プロテアーゼ ワンのプロ配列を欠失させた変 異体であり、ERAD の基質となる異常タンパク質です。しかし、pro を用いた in vitro の in vitro ERAD /O 型糖鎖付加 アッセイ系は確立していません。 in vitro のアッセイ系のメリットは、様々な物質や因子を添加または除去することで反応 を分割することができるという点にあります。そのため、細胞内で起こる複雑な現象を解 析する手段として、in vitro のアッセイは極めて有効です。現在、ERAD、O 型糖鎖付加に ついて in vitro でアッセイが行えるのはデルタ ジー プロアルファファクターのみです。 そのため、複数の基質について比較、解析することが重要です。★ 1
  • 2. 以上のことを踏まえて、本研究では、pro を基質として、酵母の系を用いた in vitro ア ッセイ系を構築することを目的としました。 in vitro ERAD /O 型糖鎖付加 assay 系 デルタ ジー プロ アルファーファクターにおいてのみ、確立されている in vitro の ERAD O 型糖鎖付加 アッセイ系を紹介します。方法は、まず、デルタ ジー プロ ア ルファーファクターを in vitro で合成し、ミクロソームに取り込ませます。★そしてミクロ ソームを洗浄後、サイトゾル画分と ATP 再生系を加え、★30℃のインキュベートでチェイ ス反応を行います。すると、ミクロソームに取り込まれたデルタ ジー プロ アルファ ーファクターが、サイトゾルへ逆向きに輸送され、プロテアソームによって分解される ERAD が起こります。★このとき、ERAD と同時に、Pmt によって O 型糖鎖付加も起こり ます。 プレpro の翻訳反応 酵母から調製したミクロソームに、in vitro でタンパク質を取り込ませることに成功した例 は多くはありません。アルファファクターは、in vitro で翻訳終了後にミクロソームに取り 込まれることが示されています。そのため、本研究ではまず最初に、プレpro を酵母ライ セート中で翻訳し、アルファファクターと同様に、翻訳終了後にミクロソームへ取り込ま せることを試みました。 この図は、in vitro で 35S メチオニン存在下で、酵母ライセートによってプレpro を合 成した結果です。35kDa 付近に期待通りの分子量のタンパク質が合成されました。 プレpro の翻訳終了後の膜透過反応 次に in vitro で合成した、プレpro についてミクロソームへの、膜透過反応を行いました (レーン 2-5) 。★その後、トリプシン消化を行い、ミクロソームに取り込まれてプロテア ーゼ耐性になる分子種の検出を試みました(レーン 6-13) 。しかし、このように、プロテア ーゼ耐性になるバンドは観察されませんでした。このことから、in vitro においてプレpro は、翻訳が完全に終了した後では、ミクロソームに取り込まれないと判断しました。 プレpro の翻訳と共役した膜透過反応 次に、酵母ライセートによる翻訳系にミクロソームを共存させ、翻訳と膜透過を共役させ た反応によって、プレpro がミクロソームに取り込まれる可能性について調べました。そ の結果、このように、プレ配列の切断されたpro が、プロテアーゼ耐性となり、ミクロソ ームへ取り込まれたことがわかりました。 (野生株由来のミクロソームを用いた)in vitro ERAD /O 型糖鎖付加 assay 次に、pro を取り込んだミクロソームに、サイトゾル画分と ATP 再生系を加え、チェイス 2
  • 3. 反応を行いました。チェイス反応後、トリプシン消化を行い、ミクロソーム中に残存して いるpro の量を定量しました。その結果、まず、pro がチェイス反応に従って減少してい く様子が観察されました(レーン 1-4) 。また、pro のバンドの上部にこのようなスメアバ ンドが観察されました(レーン 5-8)。これらを定量したのが下のグラフです。チェイス時 間 0 分のときのpro の存在量を 100%とすると、チェイス反応終了後の 60 分後にはpro 約 35%まで減少したことが分かります。 スメアバンドはチェイス反応終了後に約 65% また、 増加しました。★一方、pro とスメアバンドの合計量は、チェイス反応中にほとんど変化 しませんでした(Fig.5B) 。この実験から、チェイス反応に従ってpro は減少しましたが、 ERAD による分解は見られず、何らかの修飾を受けていることが予想されました。 (pmt2 株由来のミクロソームを用いた)in vitro ERAD /O 型糖鎖付加 assay pro は in vivo において、主に小胞体の膜タンパク質 Pmt2p によって、O 型糖鎖付加を受 けます。先ほどのスメアバンドが、pro が O 型糖鎖付加を受けた結果であるかを検討する ために、Pmt2p を欠失させたpmt2 株由来のミクロソームを用いて同様のチェイス反応を 行いました。★チェイス反応後にトリプシン消化を行った場合、pro のバンドの上部には、 野生株の場合と異なり、スメアバンドは観察されませんでした(レーン 5-8)。このことか ら、野生株由来のミクロソームを用いたpro の assay では、pro は O 型糖鎖付加を受け た可能性が示唆されました。 本研究のまとめ 本研究では、モデル異常タンパク質であるpro を in vitro で合成し、酵母由来のミクロ ソームに取り込ませ、pro の O 型糖鎖付加の in vitro 再構成を試みました。まず、pro を翻訳と共役した膜透過反応によってミクロソームに取り込ませることに成功しました。 そこへサイトゾル画分と ATP 再生系を加えると、pro は Pmt2p に依存して O 型糖鎖付加 を受けた可能性が示唆されました。 pro を用いた今回のアッセイ系では、ミクロソーム内に存在するpro と O 型糖鎖付加 を受けたと考えられるpro の総量は、チェイス反応中にほとんど変化しませんでした。こ のことから、pro を基質として用いた場合、ERAD の経路による分解は、再構成されてい ないと考えられました。この結果は、デルタ ジー プロ アルファファクターの場合も、 in vitro アッセイにおいては ERAD による分解よりも O 型糖鎖付加の方が進行しやすい ことと一致します。そのため、pro の場合も、その多くが分解経路ではなく O 型糖鎖付加 を受ける経路へ移行したと考えられます。 今後はこの系を用いて、異常タンパク質のO型糖鎖付加に関与する因子や、経路を、デ ルタ ジー プロアルファファクターの場合と比較検討しながら明らかにしていきたいと 考えています。★ 3
  • 4. (もし質問が来たとき) cytosol 因子の同定、シャペロンの機能 (教科書通りに答える) デルタ ジー プロ アルファファクターとは何か? プロ アルファファクターの 3 つの N 型糖鎖付加部位を置換した変異体で、ERAD の基質 となる異常タンパク質。N 型糖鎖付加は受けないが、O 型糖鎖付加を受ける。 距離の測定 ppro をコードする DNA の終止コドンの直前を制限酵素によって消化した直鎖状 DNA か ら、転写、翻訳を行い、ppro、tRNA、リボソームの複合体を形成させる。この場合、翻 訳が終了しないために膜透過中間体を形成することが期待される。膜透過反応が途中で停 止したpro が O 型糖鎖付加を受けることができれば、膜透過装置と Pmt2p は近傍に存在 することになる。 ConA による免疫沈降で確認 スメアバンドが O 型糖鎖付加かどうかは、O 型糖鎖を特異的に検出できる抗体で免疫沈降 法 ConA(コンカナバリン A)によって、解析を進める必要がある。 糖鎖付加の可能性は O 型糖鎖付加のみか? N 型糖鎖付加もあるが、これは Asn-X-Ser/Thr というコンセンサス配列のアスパラギン残 基のアミド基に糖鎖が付加されることが分かっている。しかし、pro はこのコンセンサス 配列を持っていないため、N 型糖鎖付加の可能性はない。N 型糖鎖付加は EndoH(エンド グリコシダーゼ H)で N 型を切断し、ConA で落とすことで確認できる。 小胞体からゴルジ体への移行への可能性は考慮に入れたか? サイトゾル画分には、ゴルジ体の因子は除去していない。しかし、機能する状態で残って いるかどうかは不明。ゴルジ型糖鎖就職を受けているかは、これを認識する抗体で免疫沈 降をすれば分かる。 ERAD の分解効率 in vivo in vitro GpF 早い 見えるくらい pro 遅め ほとんど、今回は見えない ユビキチンはいらない。 因子の要求性→必要なサイトゾル因子を精製して、加えていく必要がある。 4