サウナによる3度熱中症のまとめです。 11例中2例が死亡しています。 死亡例はアルコールで泥酔した後にサウナに入っています。 深酒した後は絶対にサウナに入ってはいけません。 高齢者など、健康に不安のある人も絶対にサウナに入ってはいけません。

1. DICと肝不全を合併した
サウナ内での熱中症
JCHO 中京病院 救急科
黒木雄一 上山昌史 大須賀章倫 中島紳史
宮尾大樹 米田和弘 熊川靖章 内田敦也

2. 背景
熱中症の原因は夏の高温環境だけで
はない
サウナ内での熱中症は熱傷を合併し
ていることが多く，熱傷専門施設であ
る当院には，このような症例が集積する
傾向がある

3. 今回の要旨
サウナ内での熱中症にDICと肝不全を
合併した症例を経験した
過去にも同様の例はあったが，rTM使
用例は今回が初めてであった
過去との比較を含め，症例呈示したい

4. 77歳女性
娯楽施設内のサウナで倒れているところを発見
され救急要請
来院時，意識レベル：E1V1M1，BP
100/40 mmHg，HR 120 bpm，RR 24 /min，
BT 41.2 ℃（膀胱温）
左大腿部に3%程度の熱傷
ERで気管挿管後にICU入室

5. 検査結果
WBC 6200
Hb 14.1
Plt 20.7
BUN 22↑
Cre 1.20↑
UA 6.7
NH3 59
Na 146
K 4.0
Cl 113
Ca 9.4
T-Bil 0.7
Alb 4.3
AST 57↑
ALT 40↑
AMY 548↑
CK 201↑
Glu 153↑
CRP <0.05
PT% 102
APTT 24.0
Fib 265
FDP 3.0
Lac 40↑↑
頭部CT・MRI：異常なし
髄液検査：異常なし

6. 経過
0
10
20
30
Day 0 Day 1 Day 2 Day 3 Day 4 Day 5 Day 6 Day 7
0
50
100
血小板数（104/μL）
PT%
rTM
FFP
Ventilator
E1
V1
M1
E4
V4
M6
E4
V5
M6
Day6 ICU退室
Day22 熱傷手術
Day41 独歩退院
意
識
レ
ベ
ル

7. サウナ内での熱中症11例
2007-2018年
肝不全
血漿交換
N=11
あり
なし
n=7
n=4
n=3
生存
n=1
死亡
n=2
生存
n=7
あり
n=1
なし
今回の症例

8. 0
5
10
15
20
25
Day 0 Day 1 Day 2 Day 3 Day 4 Day 5 Day 6 Day 7
血小板数
0
20
40
60
80
100
120
Day 0 Day 1 Day 2 Day 3 Day 4 Day 5 Day 6 Day 7
PT
肝不全なし
PE+，生存
PE+，死亡
本症例
肝不全なし
PE+，生存
PE+，死亡
本症例
104/μL
％

9. 0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
Day 0 Day 1 Day 2 Day 3 Day 4 Day 5 Day 6 Day 7
ビリルビン
0.00
1.00
2.00
3.00
4.00
5.00
Day 0 Day 1 Day 2 Day 3 Day 4 Day 5 Day 6 Day 7
クレアチニン
mg/dL
mg/dL
肝不全なし
PE+，生存
PE+，死亡
本症例
肝不全なし
PE+，生存
PE+，死亡
本症例

10. 熱中症による搬送
熱中症による死亡
消防庁による熱中症統計（2018年7月）
124人
52819人
当院に搬送されたサウナ内での熱中症
死亡率 0.23%= =
搬送
死亡 2人
11人
死亡率 18%= =

11. サウナは中まで熱が通る
～頭蓋骨までおよんだサウナ熱傷～
受傷時 20日後
頭皮デブリ 頭蓋骨デブリ

12. サウナ＝熱エネルギー＋遠赤外線エネルギー
意識消失による
サウナ長時間曝露
重篤化
DIC
肝不全
腎不全
×

13. 血漿交換する？
リコモジュリン 血漿交換
ブラッド
アクセス
不要 要
（穿刺合併症リスク）
FFP使用量
必要に応じて
せいぜい
10単位
必ず
＞30単位

14. まとめ
DIC，肝不全を合併したサウナ内での3度熱
中症を経験した
従来なら血漿交換していたであろうが，rTM投
与で救命しえた
DIC・肝不全を合併した3度熱中症に対し，
rTMは血漿交換と同等あるいはそれ以上の効果
が期待できる